中高一貫校に通うメリット・デメリットとは?

中高一貫校に通うメリット・デメリットとは?

もともと私立の中高一貫校は数多くありましたが、ここ最近は公立の中高一貫校も全国的に増え、メディアでもよく取り上げられ注目を集めています。

地元の公立中に進学させればいいと思っていたけれど、そんなに中高一貫校は良いのかな?メリット・デメリットも気になる・・・という小学生の親御さんに向けて、中高一貫校に通うメリットとデメリットを元塾講師がまとめました。

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中高一貫校とは?

中高一貫校では中高6年間同じ学校に通うことになります。中高一貫教育の実施形態には次の3つがあります。(分類は文部科学省公式サイトを参照)

  • 中等教育学校・・・1つの学校として教育を行う学校。(東京の例:都立桜修館、都立小石川、千代田区立九段など。)
  • 併設型の中学校・高等学校・・・高校入試がなく*、同一の設置者による中学と高校を接続。(東京の例:開成、麻布、桜蔭、都立大泉など。)
  • 連携型の中学校・高等学校・・・市町村立中と都道府県立高など複数の学校で連携。教育課程の編成、教員や生徒の交流などが目的。(東京の例:台東区立浅草中と蔵前工科高など。中高一貫教育ですが中高一貫校とは異なります。)

*併設型は内部進学は入試がないですが、高校からの募集をかけて入学者選抜を実施する学校が多いです。(実施状況は各地域・学校により異なります。)

この記事では中等教育学校あるいは併設型の中高一貫校に通うメリット・デメリットについてご紹介しています。

中高一貫校に通うメリット

中高一貫校のメリットを5つあげました。

大学受験で有利

中高一貫校にもよりますが、多くの中高一貫校では速習型のカリキュラムが取り入れられています。

中高一貫校のカリキュラムのイメージ

  • 中1~中2で中学範囲を終了
  • 中3~高2(高3夏)で高校範囲を終了
  • 高3で入試対策

※学校・教科などにより進め方は異なります。

中高一貫校のカリキュラムだと一般の公立中⇒高校というルートより大学受験対策に時間をかけることができます。中高一貫教育の塾もありますが、学校で大学受験に向けた先取り学習ができるのは中高一貫校の大きなメリットでしょう。

また大学附属であれば厳しい大学入試を経験することなく、大学へ進学することができます。(成績、内部進学テストの結果にもよります。学校により事情が異なるためすべての中高一貫校に当てはまるわけではありません。)

質の高い教育が受けられる

中高一貫校では検定外教科書や独自のプリントなども利用して、レベルの高い授業を行っている学校が多いです。塾に通わなくてもハイレベルな勉強が進められ、大学受験に必要な力を早い段階からつけることができます。

またグローバル教育に注力している中高一貫校も注目されています。(東京だと八雲学園、広尾学園、三田国際など。)
※参考元:大学受験ONLINE

同じ学力レベルの生徒が集まっている

筆者は塾講師をしていた関係で公立中生の学校での成績分布を見せてもらう機会もありましたが、あまりにも生徒の成績がバラバラで驚くことがありました。正規分布どころではなく2つの山ができていたり、0~90点台まで横並びなことも・・・。いくらクラス分けしても限界があるように感じました。

しかし入試のある中高一貫校ならある程度同じ学力レベルの生徒が集まっているので、学力がバラバラな公立中よりはちょうど良いレベルの授業・テストが受けられるでしょう。(もちろん個人差はあります。)

個性に合った学校を選べる

グローバル教育に注力している、理数系に強い、実験などの設備が整っている、補習など手厚いサポートがある、自由な校風、生活面も指導、部活が充実・・・などなど、各中高一貫校でそれぞれ特色があり、お子さんの個性や関心と合った学校を選ぶことができます。

中高と同じ環境で過ごせる

環境の変化がストレスになることもありますが、中高一貫校だと6年間同じ環境で過ごすことができ、友だちとも長く関係を築くことができます。

高校受験がない

中高一貫校ではよほど成績が悪いとかない限り、そのまま内部進学ができます。高校受験がないため、ゆとりのある学校生活を送れるでしょう。

地域で事情は異なりますが、公立中⇒高校受験だと実技教科も内申の比重が高く、またテストの点数が良くても5を取るのが難しいことも。本来の実力より志望校のレベルを下げて受験をすることも少なくありません。

中学受験(受検)も大変ですが中高一貫校は中堅校でも高いレベルの教育が受けられるのに対し、高校受験は実績の高い良い高校に入るというのがなかなか難しいように感じます。

中高一貫校に通うデメリット

中高一貫校に通うデメリットを3つあげました。

中だるみしやすい

中高一貫校は高校受験がない分、中だるみしやすいデメリットがあります。中学受験(受検)で燃え尽き、もう勉強したくない、高校受験がないから、と家でほとんど勉強しなくなってしまう恐れも。

間違っても受験前に「受かったらもう勉強しなくてもいい(塾に行かなくてもいい)」という交換条件などは出さない方が良いでしょう・・・。

環境が合わない可能性もある

中高6年間同じ環境であることをメリットとしてあげましたが、それが逆にデメリットになることも。合わない環境で6年間過ごすのはお子さんにとって辛いことになります。また中高一貫校から別の高校へ外部受験するのもなかなか大変です。

友人関係は学校に入ってみないとわからないところがありますが、事前に学校の雰囲気などよく確認の上、お子さんが楽しく過ごせそうな環境かを第一志望だけでなく併願校も確認しておく必要があります。

私立は学費が高い

私立中高一貫校は学費が高く、首都圏で中高6年間で500万円、中には700~800万円かかるという学校も。一方公立中高一貫校なら前期課程は授業料がなく、6年間でも高くても100万円台。ただし公立中高一貫校は試験日は1日、倍率も高め。私立のように併願ができません。※学費の参考元:市進学院 学費一覧

私立・公立の併願はできますが試験の傾向が大きく異なり、両方の対策が必要になります。公立中高一貫校の試験に似たタイプの入試(適性検査型の入試)を行っている私立中もあります。

まとめ

中高一貫校のメリット・デメリットを見てきました。

大学受験でのメリットは大きいですが、お子さんが本当に行きたい、ここで頑張りたいという中高一貫校を選ばないと、後々苦労することになるかも。

中高一貫校を受験(受検)するか地元の公立中に行くかは、それぞれのメリット・デメリットも考慮して選択するべきでしょう。