中学受験をするなら一般的には進学塾に通うことがおすすめされています。
しかし中には中学受験を決めたのが遅くなり、塾に入るタイミングを逃してしまった、習い事と塾通いの両立は大変そう・・・などの理由で、塾には通わず中学受験をしたいというご家庭もあるよう。
塾なしで中学受験をするにはどうしたら良いか、中学受験指導の経験がある元塾講師がまとめました。
※こちらに記載の内容は記事公開時のもののため、情報が古くなっている場合があります
塾なしで中学受験するには?必要な10のコト
塾に通わず中学受験をしたいとお考えになるご家庭にも、各ご家庭でさまざまな事情があったり、志望校のレベルもまちまちだと思います。特別な入試(英語やプログラミングなど特技をいかした入試)は置いておき、一般的な私立中を受けると仮定して、塾なしで中学受験を進めるには次のようなことが必要と考えられます。
- お子さんの学校での成績は特に問題ないこと
- お子さんの家庭学習の習慣がついていること
- お子さん自身の受験への意欲が固いこと
- 採点したり、ある程度の解説ができること
- 日々のスケジュールを立てられること
- 入試までのスケジュールを立てられること
- 模試のスケジュールを立てられること
- 成績管理ができること
- 学校説明会などで情報収集すること
- 併願校の戦略を立てられること
1~3はお子さん、4~10はご家庭で必要な条件となります。もちろん多少お子さんが勉強で苦手分野があっても、進学校ではない私立中であれば努力次第でカバーできますが、学校の勉強も受験の勉強も両方ご家庭で見るのはかなりご負担になるかと思います。
お子さんの意欲や家庭学習という努力が欠けていれば、塾に通っていても良い成績を出しにくいです。それでも塾にさえ通っていれば周囲に頑張るお子さんたちを見て「頑張らなくちゃ」という気持ちにも持っていきやすいです。
塾なしで進めるのはお子さんも大変ですが、保護者の方も相当覚悟が必要です。中学受験の塾講師や家庭教師、またご自身が中学受験を経験していたり、上のお子さんで受験を経験した保護者の方なら4~10のことはよくご存知のことでしょう。
中学受験のことをまったく知らない・・・というご家庭だと(一般的な私立中入試は)受験のためにやらなくてはいけないことが多すぎて、かなり大変かもしれません。しかし塾に通わないということは何もかもご家庭で準備したり情報収集しないといけないので、それなりの覚悟が必要です。
塾なしでの中学受験勉強の進め方【おすすめ教材とスケジュール】
塾なしで中学受験をする場合、どんなテキストやスケジュールで進めていったら良いのか、市販の問題集、予習シリーズ、通信教育の3パターンでまとめました。
市販の問題集で進める
中学受験向けの問題集はたくさん出版されているのですが、分野ごとにまとめられたものが多く、どういう順序で進めていったら良いのか迷ってしまいます。
日能研で出している教材は学年ごとに分かれてるテキストが多いので、自宅学習派に使いやすいと思います。ウイニングステップ、基本問題シリーズは受験向けの中では取り組みやすい教材・・・ですが、学校の勉強しかしてこなかったお子さんに難しく、ご家庭でのフォローがかなり必要になるかもしれません。
ただし、6年生のテキストを6年生でやっていては受験に間に合わないので注意が必要です。
スケジュールとしては、
- 4年・・・秋までに4年のテキスト完成、冬から5年のテキスト
- 5年・・・夏までに5年のテキスト完成次第、6年テキストへ(できれば完成)
- 6年・・・夏までに6年のテキスト完成とこれまでの復習を並行、夏休みからは分野ごとの復習、過去問対策
というイメージです。
基本の総復習には同じく日能研から出ているチェックシリーズ(ベストチェック、メモリーチェック)や、算数の苦手分野は文英堂シグマベストの基礎ドリ、分野別集中レッスンシリーズも良いでしょう。力のあるお子さんならさらに難易度の高い問題集を。夏からは志望校の過去問にも取り組みます。
ただテキストをやり散らかすのではなく、週単位や月単位でこれまで学習した内容のテストや復習をしつつ、テコ入れが必要です。
学校で勉強ができる小学生でも日能研のテキストは難しいと思います。国語は知識を補う教材、算数は力に応じた問題集、理社は参考書なども必要でしょう。
文字情報だけだと理解に時間がかかりがちですので、動画授業を取り入れるのもおすすめです。スタディサプリは中学受験の基礎固めにもおすすめです。
四谷大塚の「予習シリーズ」で進める
市販の問題集は中身を確認してから購入することが可能ですが、スケジュールを立てるのが結構面倒かもしれません。四谷大塚で出している「予習シリーズ」なら解説も問題も1冊にまとまっている上、週ごとのカリキュラムも決められているので使いやすいです。
ただし「予習シリーズ」のメイン教材だけでは問題のボリューム(特に理社の問題)が足りないので、副教材もそろえておきましょう。理社は解説からいきなり応用のイメージなので・・・国語、算数は演習問題集はなくても良いかもしれません。
- 予習シリーズ(メイン教材、4教科)
- 予習シリーズ 計算(算数の副教材)
- 予習シリーズ漢字とことば(国語の副教材)
- 予習シリーズ 演習問題集(4教科の副教材)
その他に最難関問題集、応用演習問題集、基本演習問題集などもありますが、お子さんのペースや学力状況に応じて追加すればよいと思われます。上で紹介した市販教材をシリーズのフォローとして利用しても良いでしょう。
予習シリーズはわかりやすくまとまった教材とは思いますが、特に算数や理科の物理分野に関しては、解説だけでは理解するのが難しいかもしれません。教材だけの購入ではなく、四谷大塚で提供している通信教育(進学くらぶ)を利用したり、上で紹介したような市販教材、動画授業などを活用することで、テキストのみでの学習より理解が深められやすいでしょう。
通信教育や塾のオンラインコースで進める
上でも紹介した進学くらぶや大手進学塾が提供するオンラインコース(オンデマンド)や、Z会の中学受験コース、進研ゼミの考える力・プラス中学受験講座などの通信教育を利用すると、学習のペースもつかみやすいでしょう。
進学塾によってはかなり難易度が高いところも。Z会も難関校受験者が対象です。
塾なしでの中学受験は模試の参加や入試情報の収集も
お子さんの勉強を見つつ、模試や入試情報の収集、志望校や併願校の決定をしていく必要があります。事務的なミスがないよう、スケジュールをしっかり管理する必要があります。
定期的に模試を受ける
塾に入っていれば自動的に模試を受けることになっていたり、案内やお知らせが来ますが、自宅学習派はすべてご家庭で手続きしないといけません。
なお首都圏ですと中学受験生対象の模試は、
- 日能研(全国公開模試)
- 四谷大塚(志望校判定テスト・合不合判定テスト)
- 首都圏模試(合判模試)・・・首都圏最大の模試、中堅校向け
- SAPIX(実力診断・志望校診断・合格力判定・学校別サピックスオープン)・・・難関校向け
などがあります。第一志望が難関校ならSAPIX、上位~難関校なら四谷大塚か日能研、中堅校までなら首都圏模試が良いと考えられます。
志望校・併願校の決定
学校・入試情報の収集も保護者の方の重要な役割です。もちろん志望校の説明会は塾にお通いのご家庭でも行く必要がありますが、最終的な志望校や併願校の決定はご家庭で各校の情報をいろいろ集めながら検討することになります。
中学受験だと一般的には3、4校受けるパターンが多いです。例えば東京の場合は1月に千葉や埼玉県の中学でおためし受験をして、2月1日の午前に第一志望を受けて、午後に併願校、2日は・・・と各校の入試日程や偏差値(人気度)を見ながら併願パターンも考える必要があります。
まとめ
塾なしでの中学受験は、勉強のサポート以外にもお子さんの精神的なサポート、模試での成績管理、学校の情報集め、志望校・併願校の決定・・・などなど、塾にお通いのご家庭よりも負担は多くなるかもしれません。特に大変なのは受験学年でしょう。
勉強を見るだけでも大変そうなのに、志望校や併願校の決め方、入試情報の収集とかなんだか大変そう・・・と思ったら、負担の多い教科だけでも個別指導や家庭教師をご利用になってみても良いかもしれません。