文部科学省の令和6年度入学者選抜実施状況によると、国公立大学と私立大学で総合型選抜での入学者が増加。学校推薦型選抜は国公立大で増加し、私立大は昨年との比較ではやや減少しましたがそれでも全体の4割と高い数字です。
令和6年度大学入学者の全体数に対する割合
国立 | 公立 | 私立 | |
総合型選抜 | 6.10% | 4.50% | 19.00% |
学校推薦型選抜 | 12.40% | 26.00% | 40.30% |
*文部科学省「令和6年度国公私立大学・短期大学入学者選抜実施状況の概要」を元に作成
私立大で6割近く、国公立でも約2~3割の入学者が推薦(総合型選抜・公募推薦・指定校)で入学を決めていることがわかります。一般選抜だけで勝負するのはなかなか厳しい戦いのように感じます。
一般選抜だけでは心配、総合型選抜と学校推薦型選抜について基本を知りたいという方に向け、この記事では総合型選抜と学校推薦型選抜(公募と指定校)の違いや対策方法などをまとめています。よかったら大学受験対策の参考にしてください。
総合型選抜(AO)・公募推薦・指定校推薦の違いは?
総合型選抜(旧AO入試)とは大学が求める人物像(アドミッションポリシー)に合った生徒を採用する選抜方式で、学校の推薦は不要。
学校推薦型選抜は学校長の推薦が必要で、公募制と指定校制があります。
各大学の募集状況にもよりますが、一般的には出願条件の厳しさと入学しやすさは総合型選抜<公募推薦<指定校推薦と考えられます。国公立大は公募推薦も厳しめの傾向にあります。
総合型選抜と学校推薦型選抜(公募・指定校)の比較
※時期は一例であり大学によって異なることがあります。
総合型選抜 | 公募推薦 | 指定校推薦 | |
---|---|---|---|
大学 | 私立・国公立 | 私立・国公立 | 私立のみ |
評価 | 大学が求める学生像 資格 学業成績 活動実績 |
学業成績 活動実績 資格 ※評定平均が重要だが 例外もあり |
|
学校推薦 | 不要 | 要 | |
出願時期 目安 |
8~10月 | 11~月 | |
試験時期 目安 |
9~11月 | 11~12月 | |
合格発表 目安 |
11~12月 | 12~2月 | |
試験内容 | 小論文・面接・グループディスカッション・プレゼン・学科試験・実技試験などから | 小論文・面接・グループディスカッションなどが多い 学科試験がある場合も |
|
倍率 | やや高め | やや低め 国公立・難関大は高め |
低い 校内選抜が大変 |
総合型選抜は大学との相性が重視される
総合型選抜でも評定平均(特に難関大は高め)の基準があったり、中には学科試験や共通テストを課す大学もあります。
ただし基本的には学業成績より大学とマッチしている人物かを見る選抜です。
書類選考の材料となる志望理由書、試験での面接やプレゼン、小論文など対策、将来のビジョンをしっかり固めておく必要があります。
学校推薦型選抜は成績・実績が重視される
公募にしても指定校にしても、学校推薦型選抜では高校での学業成績が特に重視されます。
指定校制は大学側から高校を指定するものなのでほとんどの生徒が受かります(例外もあります)。高校の中で同じ大学・学部を志望する人が多いと厳しいことも。
公募制は倍率が高いところもあり、評定は基準ギリギリよりは高い方が有利と考えられます。スポーツや資格などの実績を利用する特別推薦もあります。
もちろん試験での面接(口頭試問)も重視され、近年は学科試験を実施するところも。試験内容に合わせた綿密な対策は必要です。
併願はできるのか?
総合型選抜も学校推薦型選抜も基本的に推薦なので専願が基本です。(専願⇒合格したら絶対入学)
総合型選抜は他大学と併願可能な大学も一部あります。専願でも万一不合格となった場合、大学により出願時期が遅かったり後期募集をするところもあるので、受験のチャンスを増やすことができます。
公募推薦も併願が可能な大学もありますが、指定校は基本的に併願はできません。
総合型選抜を複数校受験したり、総合型選抜と公募推薦を利用する受験生もいます。もちろん一般選抜で再度受験することもできます。
受ける大学が専願のみか併願可能なのか、出願や試験実施時期などをリサーチした上で、総合型選抜や推薦の「併願戦略」をとることが可能です。
総合型選抜(AO)・公募推薦・指定校推薦はどんな人に向いている?
各大学によって総合型選抜・学校推薦型選抜の実施状況(出願条件や試験内容)は異なりますが、多くの場合どのような人に向いているのかそれぞれまとめました。
総合型選抜(AO)が向いている人
総合型選抜は次のような人に向いています。
- 資格や実績、特技がある
- 大学でやりたいこと、将来のビジョンがハッキリしている
- 文章力やコミュニケーションスキルが高い
自分の特技や好きなことを将来に活かしたい、だからあの大学に入りたい!という気持ちが強い人は総合型選抜に向いているでしょう。
総合型選抜を受けてみたいけど将来のことはまだハッキリ決めていない、小論文や面接って苦手・・・という人も、専門塾なら一から相談に乗ってもらえ、総合型選抜に必要な指導が受けられます。
公募推薦・指定校推薦(学校推薦型選抜)が向いている人
各大学の選抜方式にもよりますが、学校推薦型選抜は次のような人に向いています。
- 1年生からコツコツ勉強している
- 学校で良い成績をキープしている
- 文章力やコミュニケーションスキルが高い
部活が忙しくてもスキマ時間を活用したり苦手教科だけでも塾通いしたり、自分の強い意志で毎日勉強を頑張ってテスト対策や資格試験対策を行える人は、成績も実績も残せるでしょう。
総合型選抜と同様面接もあるので、ある程度将来の展望を持つことも必要です。
総合型選抜(AO)・公募推薦・指定校推薦はどんな対策をするべき?
総合型選抜、学校推薦型選抜を利用するなら次のような対策をしておくことをおすすめします。
学校で良い成績をキープする
難関大を狙っているなら評定平均は高い方が総合型選抜でも選択肢が広がります。
もしこの記事を読んでいる方がまだ高校入学したばかり(のご家庭)なら、最初の試験から気を抜かず、良い成績をキープすることを心がけてほしいです。
評定平均は4.0が一つの目安ですが、難関大ならもっと高いことも。早めの情報収集も必要です。
資格をとっておく
学校の勉強と両立が大変かもしれませんが、受験に必要になりそうな資格をとっておきましょう。志望大学や学部が決まっていないと何を取っておけば良いか判断が難しいですが、英語のメジャーな資格はいろいろな大学で利用できます。英語の検定なら2級、さらに準1級も取得できれば選択肢も広がります。
将来のビジョンを明確にする
特に総合型選抜では将来のビジョンを明確にしておく必要があります。
各大学のアドミッションポリシーもふまえ、なぜその大学の学部・学科を選んだのか、将来社会でどのように活躍し社会に貢献したいのか。
大学でやりたいことと将来のビジョンとのつながりを文章でも口頭でも説明できないといけません。
面接では鋭い質問が飛ぶこともあり、時間をかけて事前調査することも必要です。一朝一夕に将来のビジョンを決めることはできないので、早い段階から準備を着々と進めていきましょう。
志望理由書・小論文・面接対策を行う
書類選考や試験の内容は各大学や学部により異なります。受験学年からでも間に合わせることは可能ですが、小論文やグループディスカッション、プレゼンが苦手な人は早めに対策しておいても良いかもしれません。
小論文なら通信講座などで自宅で対策しやすいです。一般選抜にも活かすことができます。学校の先生にお願いできそうなら添削を頼んでみても。
志望理由書の作成や面接、グループディスカッション、プレゼンは高校生なら学校でも対策してくれるところがありますが、それだけで不安であれば専門塾で講座をとるのがおすすめです。
一般選抜対策も並行して
総合型選抜も学校推薦型選抜(特に公募推薦)も確実に合格できるものではありません。バランスよく一般選抜の対策も進めておきましょう。
塾に通う
塾なしで受かる人もいますが、1人で対策を進めるのは無理・・・という人もいますよね。以前筆者が在籍していた複数の個別指導塾でも、AOや指定校推薦対策で塾に通っていた高校生たちがいました。
しかし普通の個別指導塾だと総合型選抜や推薦に関する情報量が少なかったり、面接やプレゼンの対策が不十分になる可能性も否めません。できれば専門の塾、推薦に強い塾がおすすめです。実績のある塾を探しましょう。
総合型選抜対策におすすめな塾は次の記事で紹介しています。

まとめ
総合型選抜・公募推薦・指定校推薦の違いと対策についても見てきました。こちらを読んで結構対策は大変そう・・・と思われたかもしれません。
とはいえ、今の時代は私立大で推薦(総合型選抜・学校推薦型選抜)が5割を超えるところは珍しくなく、一般選抜のみで勝負すること自体が一昔前より厳しくなってきたと言えます。
むしろ受験生本人の適性に合った選抜方法も利用することで、受験のチャンスが増えると捉えて良いでしょう。大学と将来の選択肢を広げるために、いずれかの選抜を視野に入れた受験対策をスタートしてみてはいかがでしょうか。
総合型選抜に関する記事や大学受験におすすめの塾は次の記事で紹介しています。