光には直進する、鏡などで反射する、異なる物質の中に進むときに屈折するという性質があります。光の道筋に関する問題は作図も含めてよく出題されます。今回光の反射や屈折に関する基本的事項をまとめましたので、勉強に役立てください。
光の性質
光はふつうまっすぐ進む性質を持っています(光の直進)。
光は鏡などの物体にあたってはね返る性質(光の反射)や、違う種類の物質に進むと折れ曲がって進む性質(光の屈折)もあります。
光の反射
光は鏡などの物体にあたってはね返る性質をもち、これを反射といいます。光が反射するとき、下の図のように反射角と入射角は等しくなります。
反射の法則 「入射角=反射角」
鏡に映る像と範囲
上の図でAの像はどこにできるのでしょうか。またAの像の光はBの位置までどのように届くのでしょうか。Aの像とAからBまで届く光の道筋を作図すると下のようになります。
A’がAの鏡に映った像です。鏡を対象の軸とした、線対称な位置に像ができます。さらに像からBまで直線をひけば、AからBまでの光の道筋がわかります。入射角、反射角が等しくなっていますね。
下の図でDの位置から鏡を見たとき、鏡で見えるのはA、B、Cのどれになるのでしょうか。
これも作図で考えると…。
鏡を軸として線対称な像A’~C’をつくります。像からDの位置まで直線をひいたときに鏡を通れば、その像は鏡に反射して見えることになります。
したがってB、Cは鏡で見えることになります。水色で塗った部分は、Dから鏡に反射して見える範囲を表しています。
光の屈折
光は異なる物質の中に進むとき、例えば空気からガラスや水へ、ガラスや水から空気へ進むようなとき、屈折して進む性質を持っています。(ほとんどの光が屈折、光の一部は反射します。)
空気からガラス(水)へ進むとき 入射角>屈折角
光が空気中からガラスや水中に進むとき、入射角の方が屈折角より大きくなります。
ガラス(水)から空気へ進むとき 入射角<屈折角
光がガラスや水中から空気中へ進むとき、入射角より屈折角の方が大きくなります。
空気→ガラス(水)、ガラス(水)→空気のいずれの場合も、空気側の方が角が大きいことに注目!
ただし光がガラスや水に垂直に入射した場合は屈折しません。
反射と屈折
空気から水やガラス、あるいは水やガラスから空気へと光が進むとき、光の一部は反射、一部は屈折して進みます。(屈折しないときもあります。)
下の図は空気中から半円形レンズの中心に光を入射させたとき、反射・屈折する光の道すじを表したものです。
下の図は半円形レンズから光を入射させたとき、反射・屈折する光の道すじを表したものです。
全反射
ガラス(水)中から空気中へと進むとき、入射角が大きいとガラス面や水面で光がすべて反射することがあります。これを全反射といいます。光ファイバーは全反射を利用しています。
水・ガラスから空気中に光が進むとき、入射角<屈折角となりますが、入射角が一定の角より大きくなると、屈折角が大きくなりすぎて水・ガラスの方に曲がってしまうため、このような現象が生じると考えます。
【参考】全反射と臨界角
このように空気に出ていかなくなるときの入射角を臨界角といいます。水から空気への臨界角は約48.6°、ガラスから空気への臨界角は約41°となります。
【問題編】光の反射・屈折
問1 図の線と矢印は光が鏡に反射したときの光の道筋を示している。このとき入射角、反射角はア~エのどれになるのか、それぞれ記号で答えなさい。
答えを確認問2 下の図でAの位置にある物体の像と、Aの光がBの位置に届くまでの光の道筋を作図しなさい。
答えを確認問3 下の図は空気中から水中に光が進む様子を表している。水中での光の道筋はア~ウのどれか。
答えを確認問4 下の図は水中から空気中に光が進む様子を表している。空気中での光の道筋はア~ウのどれか。
答えを確認問5 光が空気からガラスに進むときの入射角が0°のとき、光は屈折するか。
答えを確認問6 光が水やガラスから空気中に進むとき、入射角がある一定の角度以上になると水面やガラス面で光がすべて反射する。この現象を何というか。
答えを確認まとめ
光の反射や屈折に関する基本事項を確認してきましたが、いかがでしたか。
光は直進する性質をもつこと、光が鏡などで反射するとき、入射角と反射角は等しくなること、空気中から水やガラスに進むときは入射角>屈折角、水やガラスから空気中に進むときは入射角<屈折角になることがポイントでした。
これらのことをふまえ、鏡の作図の問題、屈折の道筋を選ぶ問題にも慣れておきましょう。