天気の単元でよく質問を受けるのが湿度の計算。公式を丸暗記しても問題文にハッキリと「飽和水蒸気量」と「水蒸気量」が書いてあるとは限らず、どう公式を利用したら良いのかとまどってしまうという人が多いのではないでしょうか?
飽和水蒸気量、露点の意味も理解できていないと、湿度を扱う問題を解くの難しいでしょう。今回は飽和水蒸気量や露点の意味も説明しつつ、できるだけわかりやすく、湿度を求める問題を解説していきます。
湿度の公式って?
$$湿度(\%)=\frac{1m^3あたりの水蒸気量(g/m^3)\ \ \ \ \ \ \ \ \ }{その気温での飽和水蒸気量(g/m^3)}\times100$$
速さの計算をするとき使う「はじき」のような図を書いて覚えるという手もありますが、学校のテストでは↑の公式そのものを書かせることもあります。公式を正しく覚えておいた方が良いでしょう。
※飽和水蒸気量は暗記する必要はありません。表や問題文の中に書いてあります。
【例題】 気温が20℃の室内で、1m3あたりの水蒸気量が10.38gのときの、湿度を求めなさい。(20℃のときの飽和水蒸気量は17.3g/m3)
公式に当てはめると、
$$\frac{10.38}{17.3}\times100=60(\%)$$
と求めることができます。
しかし実際に学校のテストや入試に出る湿度の計算問題はもっと複雑に感じると思います。例えばこんな問題が出ています。
室内の気温が25℃のとき、金属製のコップに水を入れ、さらに氷を入れた試験管を入れてかき混ぜながら水温を下げた。水温が15℃のとき金属製のコップの表面がくもりはじめた。このときの室内の空気の湿度を四捨五入して小数第1位まで求めなさい。
飽和水蒸気量と露点という概念がわからないと、こういった問題が解きにくくなります。(実際の問題では飽和水蒸気量の表が別にあることが多いです。)
湿度を求めるのに必要!飽和水蒸気量と露点って?
飽和水蒸気量はもちろんのこと、露点についても理解をしておくことで、上のような問題が解きやすくなってきます。
飽和水蒸気量
気温が高くなるほど空気中に多くの水蒸気を含むことができます。そのため急に気温が低くなると空気中に水蒸気を含むことができず、水(水滴)が出てきます。冬の朝窓ガラスに水滴が多くついていたりしますね。
気温によってかかえこむことができる水蒸気量には限界があります。気温ごとの水蒸気の限界量が飽和水蒸気量だと考えておけば良いです。問題では飽和水蒸気量が表で示されていることが多いです。
飽和水蒸気量は気温が高いほど大きくなる。
下の図のように気温が上がるほど飽和水蒸気量は大きくなります。同じ水蒸気量でも気温が高いほど湿度は低くなります。
露点
水蒸気が水滴になることを凝結といい、凝結が始まる温度のことを露点といいます。しつこく言うようですが、露点は「温度」です。
露点はもとの水蒸気量が多いほど高くなる。
上のポイントを下の2つの図からイメージしてみましょう。実際の水蒸気量と飽和水蒸気量が一致したとき(湿度100%のとき)凝結が起こり、そのときの気温が露点となります。
下の図では上の図と比べると水蒸気量が少なくなっています。そのため露点も低くなります。
露点についてはまた別の機会に詳しく説明したいと思います。
それでは飽和水蒸気量、露点についておおよそ理解できたら、次のステップへ進みましょう。
【問題編】湿度を求めてみよう!
問題1 湿度を求めてみよう!
さきほどの問題です。
室内の気温が25℃のとき、金属製のコップに水を入れ、さらに氷を入れた試験管を入れてかき混ぜながら水温を下げた。水温が15℃のとき金属製のコップの表面がくもりはじめた。このときの室内の空気の湿度を四捨五入して小数第1位まで求めなさい。
こちらの飽和水蒸気量の表を利用して考えます。
気温(℃) |
飽和水蒸気量(g/m3) |
5 |
6.8 |
10 |
9.4 |
15 |
12.8 |
20 |
17.3 |
25 |
23.2 |
30 |
30.4 |
室内の温度が25℃、くもり始めたときの温度が15℃ということで露点が15℃ということになります。それぞれの飽和水蒸気量が25℃で23.2g/m3、15℃で12.8g/m3です。
湿度の公式は
$$湿度(\%)=\frac{1m^3あたりの水蒸気量(g/m^3)\ \ \ \ \ \ \ \ \ }{その気温での飽和水蒸気量(g/m^3)}\times100$$
ですが、露点と関わる問題では次のような式に置き換えて考えることもできます。
$$湿度(\%)=\frac{露点での飽和水蒸気量(g/m^3)\ \ \ \ }{その気温での飽和水蒸気量(g/m^3)}\times100$$
難しい…と感じたら、まず飽和水蒸気量の表に、問題文で出ている2つの気温に○印でもつけて、飽和水蒸気量にも同じように印をつけてください。
$$湿度(\%)=\frac{少ない方の飽和水蒸気量(g/m^3)}{多い方の飽和水蒸気量(g/m^3)}\times100$$
正しい公式ではありません
湿度の公式を利用するとき、分母が分子より小さくなるということは考えられません。湿度100%を超えるってことはまずないでしょう。
混乱した生徒が気温と飽和水蒸気量でわり算しているのを見たことがありますが、湿度は飽和水蒸気量どうしでわり算して求めます。
ということで、
$$\frac{12.8}{23.2}\times100=55.17…(\%)$$
答 55.2%
この問題は小数第1位まで求める問題なので、第2位まで計算して四捨五入します。注意しなくてはならないのは、12.8÷23.2=0.55…⇒0.6と100倍する前のわり算で四捨五入しないこと。(結構コレをやっている生徒が見かけられます。)
では次の問題ではノーヒントでやってみましょう。
問題2 飽和水蒸気量から湿度を求める
金属製のコップに水を入れ、さらに氷水を加えてかき混ぜながら水温を下げた。水温が10℃のとき金属製のコップの表面がくもりはじめた。このときの室内の気温は20℃だった。室内の湿度を四捨五入して小数第1位まで求めなさい。
気温(℃) |
飽和水蒸気量(g/m3) |
5 |
6.8 |
10 |
9.4 |
15 |
12.8 |
20 |
17.3 |
25 |
23.2 |
30 |
30.4 |
露点=10℃の飽和水蒸気量が9.4g/m3、室内の温度=20℃での飽和水蒸気量が17.3g/m3です。露点での飽和水蒸気量÷もとの気温の飽和水蒸気量より、
$$\frac{9.4}{17.3}\times100=54.33…(\%)$$
答 54.3%
その他湿度・飽和水蒸気量に関わる問題
最後に湿度や飽和水蒸気量に関わる問題をいくつか確認しておきましょう。
【問題】気温が22℃の部屋の中で、空気中に12.8g/m3の水蒸気量が含まれているとする。次の質問に答えなさい。
気温(℃) |
飽和水蒸気量(g/m3) | 気温(℃) | 飽和水蒸気量(g/m3) |
5 |
6.8 | 15 |
12.8 |
6 |
7.3 | 16 |
13.6 |
7 |
7.8 | 17 |
14.5 |
8 |
8.3 | 18 |
15.4 |
9 |
8.8 | 19 |
16.3 |
10 |
9.4 | 20 |
17.3 |
11 |
10.0 | 21 |
18.4 |
12 |
10.7 | 22 |
19.4 |
13 |
11.4 | 23 |
21.8 |
14 | 12.1 | 24 |
23.1 |
問1 この部屋には1m3あたりあと何gの水蒸気を含むことができるか。
問2 この部屋の露点は何℃と考えられるか。
問3 この部屋の湿度は何%か。
問4 もし部屋の湿度が40%だとしたら、1m3あたり何gの水蒸気を含むことができるか。
わかりましたでしょうか?少なくとも上の解説が理解できていれば、露点と湿度は答えられたと思います。
問1 この部屋には1m3あたりあと何gの水蒸気を含むことができるか。
気温が22℃のときの飽和水蒸気量は19.4g/m3、空気中には12.8g/m3の水蒸気が含まれているので、
$$19.4-12.8=6.6(g)$$
問2 この部屋の露点は何℃と考えられるか。
12.8g/m3のときの気温が15℃なので、露点は15℃。
問3 この部屋の湿度は何%か。
$$\frac{12.8}{19.4}\times100=65.97…(\%)$$
答えは66.0%。
問4 もし部屋の湿度が40%だとしたら、1m3あたり何gの水蒸気を含むことができるか。
飽和水蒸気量の40%が実際に含まれている水蒸気量になります。
$$12.8\times0.4=5.12(g)$$
まとめ
湿度の問題について解説してきましたがいかがでしたでしょうか。湿度を理解するには飽和水蒸気量、露点についてもよく確認しておく必要があります。
$$湿度(\%)=\frac{1m^3あたりの水蒸気量(g/m^3)\ \ \ \ \ \ \ \ \ }{その気温での飽和水蒸気量(g/m^3)}\times100$$
1m3あたりの水蒸気量が問題文にはっきりと書いていないときもありますが、この水蒸気量は露点(くもり始めるときの温度)での飽和水蒸気量と等しくなるということも覚えておいてくださいね。