中学理科で学習する「細胞分裂」に関する、まとめと問題です。(ここで扱うのは体細胞分裂です。)
細胞分裂は根のどこで最も活発か、タマネギの根を使った細胞分裂の観察実験でなぜ塩酸を使うのか、観察するときになぜ指で押しつぶすのか、細胞分裂の順序と動物細胞・植物細胞での違いについても確認します。
細胞分裂
細胞分裂とは1つの細胞が2つの細胞に分かれることです。生物のからだをつくる細胞の細胞分裂を体細胞分裂といいます。
細胞分裂の観察
細胞分裂の観察実験に、タマネギやソラマメなどの根がよく利用されます。
根の先端近く(成長点…最先端の少し上の部分)がもっとも細胞分裂がさかんに行われているので、観察に適しています。
なお最先端は根冠(こんかん)と呼ばれ、成長点を保護するものです。
根の先端近くが最も成長するため、下の図だとウの部分が最も成長します。
観察の手順
①タマネギの根の先端部分を切り取り、柄つき針で軽くつぶす
→根の先端近くは細胞分裂がさかんに行われている
②エタノールにつける
→細胞組織が変化(劣化)しないようにするため
③うすい塩酸の入った試験管に入れる
→ 一つ一つの細胞を離れやすくするため
④試験管を約60度の湯が入ったビーカーに入れる
→ ②の反応を効率よく行うため(塩酸を直接あたためると危険なため)
⑤1分後タマネギの根を水洗いして、スライドガラスにのせる
⑥酢酸カーミン溶液(酢酸オルセイン溶液)を一滴落とす
→ 核や染色体を赤く染める
⑦カバーガラスをかけてろ紙でおおい、指で静かに押しつぶす
→ 細胞どうしの重なりをなくすため
※空気の泡が入らないように注意する
⑥顕微鏡で観察する
→低倍率(40倍~60倍)から観察する
細胞分裂の順序
①染色体が複製され、2倍の数になる。
②核の中に染色体が見える。
③細胞体の中央に染色体が集まる。
④染色体が両端に分かれる。
⑤細胞の両端に2つの核ができる。
⑥細胞質が2つに分かれる。
→ 植物細胞は中央に仕切りができ、動物細胞は細胞質にくびれができる。
⑦染色体が見えなくなり核が現れ、2つの細胞になる。
成長のしくみ
多細胞生物は細胞分裂を行い、細胞の数が増えた後、それぞれの細胞が大きくなって成長します。
※分裂したときは細胞は小さい。
【問題編】細胞分裂
問1 生物のからだをつくる細胞の細胞分裂を特に何といいますか。
→答え問2 下の図はソラマメの根に等間隔に印をつけたものです。成長したときにもっとも伸びるのはア~ウのどれですか。
→答え問3 タマネギの根を用いて、①~⑦の実験の手順で細胞分裂を観察しました。これについて次の問いに答えましょう。
①タマネギの根の先端部分を切り取り、柄つき針で軽くつぶす
②つぶしたタマネギの根の先端部分をエタノールにつける
③塩酸の入った試験管に入れる
④試験管を約60度の湯が入ったビーカーに入れる
⑤1分後タマネギの根を水洗いして、スライドガラスにのせる
⑥染色液を一滴落とす
⑦カバーガラスをかけてろ紙でおおい、指で静かに押しつぶす
(1) ③、④で塩酸を入れてあたためたのはなぜですか。
→答え
(2)⑥の染色液を1つ答えましょう。
→答え(3)⑦で静かに指で押しつぶすのはなぜですか。
→答え問4 次のア~キは細胞分裂の模式図です。アを一番最初とし、細胞分裂の順序にしたがってイ~キを正しい順に並べましょう。
→答え問5 体細胞分裂が始まる直前に、染色体の数はどうなるか。
ア変わらない
イ複製されて2倍になる
ウもとの染色体の数の半分になる
問6 細胞分裂のとき、植物細胞にあてはまるものをア、イから選びましょう。
ア中央に仕切りができて、細胞質が2つに分かれる
イ細胞質にくびれができて、細胞質が2つに分かれる
問7 からだが成長するには細胞分裂によって細胞がどのようになるためか、「数」と「大きくなる」という語句を使って答えましょう。
→答えまとめ
- 細胞は根の先端付近で細胞分裂が活発に行われる。(最先端ではない)
- 細胞分裂の観察で、根の先端部分をあたためた塩酸につけるのは 一つ一つの細胞を離れやすくするため、プレパラートをつくるとき指で静かに押しつぶすのは細胞どうしの重なりをなくすため。
- 観察するときは、酢酸カーミン溶液(酢酸オルセイン溶液)を使う→核や染色体を赤く染める
- 細胞分裂の順序
- 細胞分裂の直前で染色体が複製されて2倍になる(細胞分裂の前後では染色体の数は変わらない)。
- 細胞質が2つに分かれるとき、植物細胞では仕切りができて、動物細胞では細胞質にくびれができる。
- 細胞分裂で細胞の数が増える+細胞が大きくなる→成長