三角比の相互関係に関するまとめと問題です。
三角比の相互関係の式の導き方、三角比の相互関係を利用した\(sin\theta\)、\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値の求め方を確認します。
三角比の相互関係
まずはこの3つを覚えておきましょう。
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)
\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)
\(1+\tan^2\theta=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\)
なぜこのような式が導かれるのか、簡単に説明します。
まず\(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)ですが、
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{高さ}{底辺}\)です。そして、
\(高さ=斜辺\times\sin\theta\)、\(底辺=斜辺\times\cos\theta\)ですので、
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{斜辺\times\sin\theta}{斜辺\times\cos\theta}\)
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)となります。
次に\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)ですが、三平方の定理を使います。
上のような直角三角形で、三平方の定理より\(a ^2+b^2=c^2\)が成り立ちますが、両辺を\(c^2)\)で割ると、
\(\displaystyle\frac{a ^2}{c^2}+\displaystyle\frac{b ^2}{c^2}=1\)…①
また、
\(\sin\theta=\displaystyle\frac{a}{c}\)、\(\cos\theta=\displaystyle\frac{b}{c}\)…②
①、②より\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)が成り立ちます。
さらに、\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)の両辺を\(\cos ^2\theta\)で割ると(\(\cos \theta\neq0\))、
\(\displaystyle\frac{sin ^2}{\cos^2\theta}+\displaystyle\frac{\cos ^2\theta}{\cos^2\theta}=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\)
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)より\(\displaystyle\frac{sin ^2}{\cos^2\theta}=\tan^2\theta\)
これを代入して整理すると
\(1+\tan^2\theta=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\)
\(1+\tan^2\theta=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\)の式をうっかり忘れたとしても、
\(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)と\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)さえ覚えておけば、導くことができます。
ただ覚えておいた方が後々のことを考えると良いです。
また、\(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)を\(\sin^2\theta\)で割ると(\(\sin \theta\neq0\))、\(1+\displaystyle\frac{1}{\tan^2\theta}=\displaystyle\frac{1}{\sin^2\theta}\)を導くことができます。
【問題編】三角比の相互関係
問1 \(0^\circ<\theta<90^\circ\)とします。
(1) \(sin\theta=\displaystyle\frac{2}{\sqrt{5}}\)のとき、\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値を求めましょう。
→答え(2) \(tan\theta=\displaystyle\frac{3}{4}\)のとき、\(sin\theta\)、\(cos\theta\)の値を求めましょう。
→答え問2 \(0^\circ≦\theta≦180^\circ\)とします。
(1) \(sin\theta=\displaystyle\frac{1}{\sqrt{5}}\)のとき、\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値を求めましょう。
→答え(2) \(tan\theta=-\displaystyle\frac{1}{3}\)のとき、\(sin\theta\)、\(cos\theta\)の値を求めましょう。
→答えまとめ
① \(\tan\theta=\displaystyle\frac{\sin\theta}{\cos\theta}\)
② \(\sin ^2\theta+\cos ^2\theta=1\)
③ \(1+\tan^2\theta=\displaystyle\frac{1}{\cos^2\theta}\)
④ \(1+\displaystyle\frac{1}{\tan^2\theta}=\displaystyle\frac{1}{\sin^2\theta}\)
①②③は特に覚えておきましょう。③④の式はうっかり忘れても①②を覚えていれば導きだすことができます。
鋭角では\(sin\theta\)、\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値はいずれも正の数になりますが、鈍角では\(cos\theta\)、\(tan\theta\)が負の数になることに注意してください。
また三角比の相互関係を利用して\(sin\theta\)から\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値を求めるとき、\(0^\circ≦\theta≦180^\circ\)の範囲では\(cos\theta\)、\(tan\theta\)の値が正の数と負の数の2パターンを両方答えるようにします(ただし\(\theta\neq90^\circ\))。