今回は敬語表現のまとめと問題です。中学国語、中学入試でも問われる、日常会話レベルの敬語表現を学習します。
尊敬語、謙譲語、丁寧語の違い、敬語表現の一覧、適切な敬語表現の使い方を確認していきましょう。
敬語表現「尊敬語・謙譲語・丁寧語」
尊敬語、謙譲語、丁寧語はどのような表現なのか、またその違いについても確認します。
尊敬語
尊敬語は敬意をもっている相手の動作に対して使う表現です。先生、客、目上の人、上司などの動作に使います。
【例文】お客様がいらっしゃいました。(この「いらっしゃる」は「来る」の尊敬語)
「いらっしゃる」「召し上がる」「ご覧になる」「お~になる」や、助動詞「~(ら)れる」などが尊敬語で使われます。
謙譲語
謙譲語(けんじょうご)は自分や身内の動作をへりくだって(低姿勢になって)使う表現です。
【例文】お手紙を拝見しました。(「拝見する」は「見る」の謙譲語)
「参る」「いただく」「拝見する」「お~する」などの表現が使われます。
丁寧語
丁寧語は丁寧に表現したいときに使われます。
【例文】おいしいご飯を食べました。(「食べます」は「食べる」の丁寧語)
丁寧語では助動詞の「~です」「~ます」や「~ございます」が使われます。
美化語
「ご」「お」などの接頭語を使い、上品に表現するのが美化語です。
【例】ご飯、ご本、お酒、お魚など
尊敬語・謙譲語・丁寧語の違い
尊敬語と謙譲語は相手を立てるために使う表現で、動作の主体(主語)がだれなのかによって使い分けます。
丁寧語は相手を立てるものではなく、文末や語の始めに丁寧な表現を付け加えるものです。丁寧語は相手を立てるものではないので、人の動作以外にも使われます。
- 尊敬語 ・・・ 主語が客、先生、目上の人、上司など
(例)「ご覧になる」「召し上がる」「いらっしゃる」「お~になる」「ご~になる」「~(ら)れる」 - 謙譲語 ・・・ 主語が自分や身内など
(例)「拝見する」「いただく」「うかがう」「お~する」「ご~する」 - 丁寧語 ・・・ ~です、~ます、お…、ご…
(例)「私が田中です」「食べます」「行きます」「お金」「ご飯」
尊敬語と謙譲語の使い分け
尊敬語と謙譲語はどちらも「相手を立てる」意味がありますが、違いはその動作・状態の主体(主語)です。尊敬語では敬意を持っている相手の動作に対して使われるもので、謙譲語は自分・身内の動作に対して使い、自分を低くすることによって相手を立てるものです。
尊敬語と謙譲語は主語によって使い分けてください。
「いらっしゃる」… 尊敬語(相手の動作)
- 先生がいらっしゃる。(○)
- 私がいらっしゃる。(×)
「参る」…謙譲語(自分・身内の動作)
- 先生が参ります。(×)
- 私が参ります。(○)
主な敬語一覧
主な敬語(尊敬語・謙譲語・丁寧語)の一覧です。
基本形 | 敬語 |
---|---|
行く | (尊敬語)いらっしゃる、おいでになる (謙譲語)参る、うかがう (丁寧語)行きます |
来る | (尊敬語)いらっしゃる、おいでになる、お越しになる、見える (謙譲語)参る、うかがう (丁寧語)来ます |
食べる | (尊敬語)召し上がる (謙譲語)いただく (丁寧語)食べます |
飲む | (尊敬語)召し上がる (謙譲語)いただく (丁寧語)飲みます |
言う | (尊敬語)おっしゃる (謙譲語)申す、申し上げる (丁寧語)言います |
知る | (尊敬語)ご存知だ (謙譲語)存じる、存じ上げる (丁寧語)知ります |
見る | (尊敬語)ご覧になる (謙譲語)拝見する (丁寧語)見ます |
聞く | (尊敬語)お聞きになる (謙譲語)拝聴する、うかがう (丁寧語)聞きます |
会う | (尊敬語)お会いになる (謙譲語)お目にかかる (丁寧語)会います |
読む | (尊敬語)お読みになる (謙譲語)拝読する (丁寧語)読みます |
着る | (尊敬語)お召しになる (謙譲語)- (丁寧語)着ます |
あげる 与える |
(尊敬語)くださる、お納めになる (謙譲語)差し上げる (丁寧語)あげます |
もらう 受け取る |
(尊敬語)お受け取りになる (謙譲語)いただく (丁寧語)もらいます |
いる | (尊敬語)いらっしゃる (謙譲語)おる (丁寧語)います |
する | (尊敬語)なさる (謙譲語)致す (丁寧語)します |
二重敬語に注意
二重敬語は尊敬語や謙譲語をくりかえし使う敬語表現です。まわりくどく聞こえるのでふつうは避けた方が良いです。
【二重敬語の例】
・お見えになられる→「お見えになる」+「~られる」と尊敬語の表現を重ねて使っている二重敬語。
・おっしゃられる→「おっしゃる」+「~られる」と尊敬語の表現を重ねて使っている二重敬語。
・うかがわせていただく→「うかがう」+「~させていただく」と謙譲語の表現を重ねて使っている二重敬語。
「お召し上がりになる」「お伺いする」のように、二重敬語でも慣用表現として広く使われているものもあります。
なお、下の例文のような、「尊敬語+丁寧語」「謙譲語+丁寧語」は問題ありません。
【例文】
・先生はそのことをすでにご存知です。→ご存知だ(尊敬語)+です(丁寧語)
・ありがたくいただきます。→いただく(謙譲語)+ます(丁寧語)
【問題編】敬語表現(尊敬語・謙譲語・丁寧語)
問1 下の表の空欄に、適切な敬語を入れましょう。(答えは▶をクリック)
基本形 | 敬語 |
---|---|
行く | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
来る | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
食べる | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
言う | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
見る | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
聞く | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
いる | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
する | (尊敬語)▶答え (謙譲語)▶答え (丁寧語)▶答え |
問2 次の下線部の語は、尊敬語・謙譲語・丁寧語のどれになるか答えなさい。(答えは▶をクリック)
(1) そろそろお客様がお見えになる頃です。
▶答え(2) この本を差し上げましょう。
▶答え(3) この辺りは静かな場所です。
▶答え(4) 明日にでもうかがう予定です。
▶答え(5) 私の作品を先生がご覧になる。
▶答え問3 次の( )内の語を、適切な敬語表現にしましょう。
(1) 母がお礼をしたいと(言って)いました。
▶答え(2) 皆様には後ほど詳しく(説明し)ます。
▶答え(3) おいしい食事を(食べました)。
▶答え(4) 先生に事情を(言い)ました。
▶答え(5) こちらの服を(着)ますか。
▶答え問3 次の( )内のア~ウから、適切な敬語表現を選びましょう。(答えは▶をクリック)
(1) お客様が我が家に( ア 来た イ いらっしゃった ウ 参った)ようだ。
▶答え(2) 先生の作品を(ア ご覧になった イ 拝見しました ウ ご拝見しました)が、とても素晴らしかったです。
▶答え(3) どうぞ(ア 召し上がって イ 召し上がられて ウ いただいて)ください。
▶答えまとめ
・敬語は尊敬語・謙譲語・丁寧語(+美化語)
・尊敬語は客、先生、目上の人、上司などの動作に対して使い、謙譲語は自分や身内の動作に対して使う
・尊敬語は「お/ご~になる」「~(ら)れる」「ご覧になる」「召し上がる」「いらっしゃる」他
・謙譲語は「お~する」「ご~する」「拝見する」「いただく」「うかがう」他
・丁寧語は「~です」「~ます」
・二重敬語(尊敬語+尊敬語、謙譲語+謙譲語)は避けるのが基本
国語の目次はコチラ→