古典文法 過去の助動詞「き・けり」まとめと問題

古典文法 過去の助動詞「き・けり」まとめと問題

今回は古文の過去の助動詞、「き」「けり」の活用・接続・意味に関するまとめと問題です。

過去の助動詞「き」「けり」の活用表、接続のしかた、「き」のカ変・サ変での接続のしかた、「き」と「けり」の意味の違いについても確認します。

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過去の助動詞「き・けり」

過去の助動詞「き」「けり」の活用と接続を確認します

「き」「けり」の活用表

助動詞「き」「けり」の活用表です。















しか
けり (けら) けり ける けれ
「き」は特殊型、「けり」はラ変型の活用です。どちらも連用形、命令形はありません。

「き」「けり」の接続

「き」「けり」ともに活用語の連用形に接続します。「き」はカ変・サ変には未然形にも接続しますが、カ変・サ変の未然形・連用形に接続するときは「来(こ)し」「来(こ)しか」「来(き)し」「来(き)しか」「せし」「せしか」「しき」のみです。

・「き」は連用形接続、ただしカ変・サ変は未然形にも接続

カ変+き … こし・こしか(きし・きしか)

サ変+き … せし・せしか・しき

・「けり」は連用形接続

「き」の活用と接続 例

・なし+き+ば → なかりば(未然形)

・あり+き → あり(終止形)

・あり+き+人 → あり人(連体形)

・来+き+方 → 来(こ/き)方(連体形)

・す+き+ども → せしかども(已然形)

「けり」の活用と接続 例

・あり+けり → ありけり(終止形)

・悲し+けり → 悲しかりけり(終止形)

・思ふ+けり+かな → 思ひけるかな(連体形)

※終助詞の「かな」は体言・連体形接続

・+ば → 悠々たれば(已然形)

・堂々たり→ 堂々たれ(命令形)

「悲しき」はシク活用の形容詞「悲し」の連体形、「悲しけれ」は已然形で、「悲し+き」「悲し+けれ」ではありません。

▼形容詞の活用と見分け方はコチラの記事を

参考:古典文法 形容詞のク活用・シク活用まとめと問題

「き」「けり」の意味

助動詞「き」は直接体験の過去「~た」を表します。

また「き」の未然形「せ」は「~せば…まし」の形で、反実仮想「~だったら…だろうに」を表します。

助動詞「けり」は伝聞の過去「~た、~したそうだ」と、詠嘆「~だなあ」表します。

「けり」は「き」とは異なり、直接自分が経験した過去ではありません。

・「き」は直接体験の過去(「~せば…まし」で反実仮想)

→ ありき(あった)・ありせば … まし(あったら…だろうに)

・「けり」は伝聞過去と詠嘆

→ ありけり(あったそうだ)・悲しかりけり(悲しいものだ)

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【問題編】形容動詞のナリ活用・タリ活用

次の問いに答えましょう。(答えは▶をクリック)

問1 次の助動詞の活用表を完成させましょう。語幹がない場合は○を入れましょう。














けり

問2 [     ]内の現代語の意味になるように、(    )内の助動詞・動詞を適切な形に活用させましょう。

(1) 思ひ( けり )かな[思うことだなあ]

▶答え

(2) 思ひ( けり )ば[思ったので]

▶答え

(3) (す)しかば[したので、したところ]

▶答え

問3 [     ]内の現代語の意味になるように、(    )内の助動詞のいずれかを選び、必要に応じて適切な形に活用させましょう。

(1) 男あり( き・けり ) [男がいた]

▶答え

(2) 男あり( き・けり )[男がいたそうだ]

▶答え

(3) 悲しかり( き・けり ) [悲しかったなあ]

▶答え

(4) 世の中に絶えて桜のなかり(  き・けり  )ば春の心はのどけからまし[世の中に桜の花がなくなってしまったら、春を過ごす人の心がのどかになるだろうに(古今和歌集82段)]

▶答え

まとめ

・助動詞「き」は直接体験の過去、活用は「せ・○・き・し・しか・○」

・助動詞「けり」は伝聞過去・詠嘆、活用は「(けら)・○・けり・ける・けれ・○」

・連用形接続、「き」はカ変・サ変で未然形にも接続

⇒ こ・し、こ・しか、き・し、き・しか、せ・し、せ・しか、し・き