労働者の権利と労働三法に関するまとめと問題です。
労働者の権利がどのように認められたてきたか、労働三権、労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)、労働基準法で定められた労働条件について確認していきます。
労働者の権利
18世紀後半にイギリスで産業革命がおこり、資本主義経済が確立されるようになりました。
しかし雇用者から賃金をもらっている労働者の立場は、当初は弱いものでした。資本主義経済では貧富の差が広がり、労働者がつらい状況に置かれていることを背景に社会主義も提唱されるようになりました。
18世紀後半 産業革命 → 資本主義経済が確立
19世紀 マルクスが社会主義経済を提唱
1919年 ワイマール憲法(ドイツ)… 社会権 → 労働者の権利が認められる
1945年 労働組合法公布
1946年 労働関係調整法公布
日本国憲法公布 … 労働基本権が認められる
1947年 労働基準法公布
ドイツのワイマール憲法では社会権の保障を世界で初めて明記し、労働者の団結権、団体交渉権が認められました。社会主義(共産主義)の広がりを防ぐためにも、労働者の権利を守る動きが各国で広がるようになりました。
日本でも戦後労働三法(労働基準法、労働組合法、労働関係調整法)がつくられ、憲法でも労働組合権、団体交渉権、団体行動権などの労働基本権(労働三権)が認められています。(勤労権も労働基本権に含まれることがあります。)
・労働組合権(団結権)… 労働組合をつくる権利
・団体交渉権 … 経営者と団体交渉をする権利
・団体行動権(争議権) … ストライキなどの労働争議を行う権利
労働三法
労働三法とは、労働基準法、労働組合法、労働関係調整法の3つの法律を指します。
労働基準法
労働基準法は、労働者の労働条件に関する最低基準について規定した法律です。
・男女の賃金は同一
・労働時間は週40時間、1日8時間以内
・少なくとも週1日の休日
・6ヶ月継続勤務、全労働日の8割以上出勤で有給休暇10日(※)
・15歳未満の労働は禁止(例外あり)
・18歳未満の深夜労働、危険な労働は禁止
※勤務期間により年次有給休暇がとれる日数が増えていきます(最大20日)
労働組合法
労働組合法は、労働者が労働組合をつくる団結権、団体交渉権などを規定した法律です。
労働関係調整法
労働関係調整法は、労働争議(ストライキなど)の予防と、その解決について規定した法律です。
ストライキ … 仕事を放棄して、使用者に要求を通そうとすること
サボタージュ … 仕事の能率を意図的に下げて、使用者に要求を通そうとすること(サボタージュは「サボる」の語源)
【問題編】労働者の権利と労働三法
次の問いに答えなさい。または( )に適切な語句を入れなさい。
問1 ワイマール憲法には世界で初めて( )権が明記され、労働者の権利が認められました。
→答え問2 労働三権には( )権、( )権、( )権があります。
→答え問3 ストライキなどの労働争議を行う権利を何といいますか。
→答え問4 労働争議のうち、仕事を放棄して使用者に要求を通そうとすることを( ① )、仕事の能率を意図的に下げて、使用者に要求を通そうとすることを( ② )といいます。
→答え問5 労働三法には、労働者の労働条件に関する基準に定めた( ① )法、団結権や団体交渉権に関して規定された( ② )法、労働争議の予防や解決について定められた( ③ )法があります。
→答え問6 労働基準法で定められていることに関して、次の( )に適切な語句を入れなさい。
(1) 男女の賃金は( )と定められています。
→答え(2) 労働時間は週( ① )時間、1日( ② )時間以内と定められています。
→答え(3) 少なくとも週( )日の休日を定められています。
→答え(4) 6ヶ月継続勤務、全労働日の8割以上の出勤で、( )を10日とることができます。
→答え(5) ( )歳未満の労働は原則禁止されています。
→答え(6) ( )歳未満の深夜労働、危険な労働は禁止されています。
→答えまとめ
・労働三権 … 労働組合権、団体交渉権、団体行動権
・労働三法 … 労働基準法、労働組合法、労働関係調整法
・労働基準法 → 男女の賃金は同一、労働時間は週40時間、1日8時間以内、少なくとも週1日の休日など
・労働組合法 → 労働者が労働組合をつくる団結権、団体交渉権などを規定
・労働関係調整法 → ストライキなどの労働争議の予防と解決について規定