国会の役割としくみ、二院制、国会の種類についてのまとめと問題です。
国会はどのような機関として位置づけられているのか、衆議院と参議院の違い、衆議院の優越、二院制の長所と短所、通常国会・臨時国会・特別国会・緊急集会について確認します。
国会の役割としくみ
日本では国民が代表者を選び、選ばれた代表者が政治を行う間接民主制が行われています。これら代表者が国会議員で、国会議員が話し合う場が国会です。
国会は国権の最高機関で、国の唯一の立法機関です(日本国憲法第41条に定められています)。国会だけが法律を制定することができます。
「国会は国権の最高機関」
国会が国権の最高機関とされているのは、国の主権者である国民によって直接選ばれた代表者で、国会議員が構成されているからです。
二院制(衆議院と参議院)
国会は衆議院と参議院の2つの議院から構成される、二院制をとっています。
衆議院と参議院の違い
衆議院 | 参議院 | |
任期 | 4年 | 6年 |
解散 | あり | なし |
選挙権 | 18歳 | 18歳 |
被選挙権 | 25歳以上 | 30歳以上 |
選挙 |
小選挙区比例代表並立制 「総選挙」 |
半数を選ぶ選挙が3年毎に行われる 「通常選挙」 |
定数 | 465人
・小選挙区289人 ・比例代表176人 |
248人(※)
・選挙区148人 ・比例代表100人 |
※2018年に改正公職選挙法が成立し、参議院の定数は242人(選挙区146人+比例代表96人)から6人増えることになりました。
人数の覚え方ですが、衆議院は右から読むと「コロシ」になります(物騒)。参議院は「ニシがハチ」と覚えやすくなりました。
衆議院の優越
衆議院には参議院より強い権限が与えられています。これを衆議院の優越といいます。法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名などで衆議院の優越が憲法で認められています。法律案の議決は衆議院の出席議員3分の2以上の賛成が必要です。
【衆議院の優越】
法律案の議決 | 衆議院が可決し、参議院が否決あるいは60日以内に議決しない場合 →衆議院の出席議員3分の2以上の賛成で再可決 |
予算の議決
条約の承認 |
衆議院が可決・参議院が否決し、両院協議会でも一致しないとき 衆議院が可決・参議院が30日以内に議決しないとき |
内閣総理大臣の指名 | 衆議院・参議院で異なった指名、両院協議会でも一致しないとき 衆議院が指名・参議院が10日以内に議決しないとき |
予算案の先議権
内閣不信任案決議 |
衆議院のみに認められている |
※ 両院協議会 … 衆議院と参議院の議決が異なったときに開かれる協議機関
なぜ衆議院の優越が認められているのかというと、衆議院は任期が短く、解散もあるため、国民の意思とより強く結びついているからです。
二院制のメリット・デメリット
国会が二院制であることで、審議が慎重に行えるというメリットがありますが、その分審議に時間がかかるというデメリットもあります。
国会の種類
国会には常会、臨時会、特別会、参議院の緊急集会があります。
常会(通常国会)
常会は毎年1月に開かれ、新年度の予算が審議されます。予算が成立した後は、法案審議が進められます。会期は150日間ですが、会期延長が行われることもあります。
臨時会(臨時国会)
臨時会は内閣の判断や衆議院あるいは参議院の総議員4分の1以上の要求で、90日後に召集されます。毎年9月ごろに召集されています。補正予算の審議、緊急事項が議題になります。臨時会では内閣総理大臣の所信表明演説が行われのも慣例です。
特別会(特別国会)
特別会は衆議院の総選挙後30日以内に開かれ、内閣総理大臣の指名が行われます。
解散が行われると内閣総理大臣や他の国務大臣も衆議院ではなくなりますが、そのまま内閣としての職務は続きます。総選挙が終了し、特別会が召集されて内閣が総辞職となりますが、新内閣が発足するまでは職務執行内閣として職務を続けます。
参議院の緊急集会
緊急集会は、衆議院の解散時、緊急事項があるとき、参議院のみで開かれる国会です。
衆議院の解散後は参議院も閉会になります。
【問題編】国会のしくみ・種類
次の問いに答えなさい。または( )内に入る語句や数字を答えなさい。
問1 国会は国権の( ① )機関で、国の唯一の( ② )機関です。
→答え問2 問1で、なぜ国会は国権の( ① )機関とされているのですか。
→答え問3 国会は衆議院と参議院から構成されています。このような制度を何といいますか。
→答え問4 国会で問3の制度をとることによって、どのような長所がありますか。
ア 慎重な審議ができる
イ 審議に時間がかからない
ウ 両議院の意見が完全に合うまで話し合いが続けられる
→答え問5 衆議院、参議院の任期はそれぞれ何年ですか。
→答え問6 衆議院、参議院で解散があるのはどちらですか。
→答え問7 衆議院、参議院の被選挙権は、それぞれ何歳以上ですか。
→答え問8 衆議院の議員選挙でとられている選挙制度は何ですか。
→答え問9 衆議院の定数は何人ですか。
→答え問10 参議院の定数は2018年の改正公職選挙法成立で6名増え、何人になりましたか。
→答え問11 法律案の議決など、衆議院の議決が参議院より優先されることを、何といいいますか。
→答え問12 問11が認められているものとして誤っているものを選びなさい。
ア 内閣総理大臣の指名
イ 国務大臣の任命
ウ 予算の議決
エ 条約の承認
→答え問13 衆議院が可決し、参議院が否決あるいは60日以内に議決しない場合は、衆議院の出席議員のうち( )以上の賛成で再可決されます。
→答え問14 衆議院と参議院の議決が異なったときに開かれる協議機関を何といいますか。
→答え問15 常会(通常国会)は毎年何月に召集されますか。
→答え問16 常会の会期は何日間ですか。
→答え問17 内閣の判断や衆議院あるいは参議院の総議員4分の1以上の要求で、90日後に召集される国会を何といいますか。
→答え問18 衆議院の総選挙後30日以内に開かれ、内閣総理大臣の指名が行われる国会を何といいますか。
→答え問19 衆議院の解散時、緊急事項があるとき、参議院のみで開かれる国会を何といいますか。
→答え問20 常会(通常国会)では主にさまざまな法案の審議と、新年度の何が審議されますか。
→答えまとめ
・国会は国権の最高機関で、国の唯一の立法機関
・衆議院は任期4年、解散あり、被選挙権25歳以上、465人「小選挙区比例代表並立制」
・参議院は任期6年、被選挙権30歳以上、248人
・衆議院の優越…法律案の議決、予算の議決、条約の承認、内閣総理大臣の指名など
・国会の種類…通常国会・臨時国会・特別国会・緊急集会