今回は独占価格、公共料金に関するまとめと問題です。
独占、寡占市場と独占価格による消費者に与えられる不利益、企業の独占を監視する公正取引委員会と独占禁止法、カルテル・トラスト・コンツェルンなどの市場の独占形態について確認します。
独占・寡占と独占価格
市場経済において多数の企業が自由競争をしている状態では、消費者と生産者の間で(需要量と供給量の関係で)価格が調整されていきます。しかし1つあるいは少数の企業が商品を提供している場合は、この調整がなくなります。
独占・寡占
市場で1つの企業だけがモノやサービスを提供している状態を独占といい、少数の企業だけがモノやサービスを提供している状態を寡占(かせん)といいます。
寡占市場の例
ゲーム機…任天堂(Switch)、ソニー(プレステ)、マイクロソフト(Xbox)
携帯電話…NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクモバイル
自動車…トヨタ、ホンダ、スズキ、日産など
※市場に参加している企業は多くても、数社がほとんどのシェアを占めている場合もあります。
独占価格
独占あるいは寡占で決められた価格、つまり1つあるいは少数の企業が決めた価格を独占価格といいます。
競争相手がいない、あるいは少ない企業は価格を下げる必要がなく、価格を高く設定して利益を上げることができます。独占、寡占は消費者にとっては好ましくない状況です。
独占禁止法
独占禁止法(独禁法)は少数の企業により市場が独占され、自由競争が妨げられるのを防ぐ目的で制定された法律です。公正取引委員会が独占禁止法にもとづき、企業を監視しています。公正取引委員会は内閣府の外局です。
最近では2019年2月にamazonのポイント還元が出品者の負担になるのは独禁法に違反するということで、公正取引委員会が調査に入ったことがニュースになりました。
カルテル・トラスト・コンツェルン
独占禁止法ではカルテルなど不当な取引制限、過度なトラストを禁止しています。
カルテル
カルテルは利益のために価格や生産量、販路などについて、複数の企業が協定を結ぶことです。
トラスト
トラストは企業合併のことで、独禁法で過度なトラストは禁止されています。
コンツェルン
コンツェルンは事業の拡大を目的に複数企業の株式を親会社(持株会社)が持つことで、独禁法で禁止されていません。(禁止されていたこともありましたが、今は認められています。)
戦前の財閥、今だとホールディングス、ファイナンスグループがこの形態にあたります。
公共料金
国や地方公共団体によって決められる価格を公共料金といいます。電気、水道、ガス、鉄道やバス代、郵便料金など国民生活に大きく影響を与えるものは公共料金にして、価格を安定させるようにしています。
国が決める公共料金 | 社会保険診療報酬、介護報酬 |
国が認可する公共料金 | 電気、鉄道、バス、タクシー、都市ガスなど |
国に届け出る公共料金 | 郵便、固定電話、国内航空など |
地方公共団体が決める公共料金 | 水道、公立学校授業料など |
【問題編】独占価格と公共料金
問1 市場で1つの企業だけがモノやサービスを提供している状態を何といいますか。
→答え問2 市場で少数の企業だけがモノやサービスを提供している状態を何といいますか。
→答え問3 市場を独占している1つあるいは少数の企業が決めた価格のことを何といいますか。
→答え問4 少数の企業により市場が独占され、自由競争を妨げるのを防ぐ目的で制定された法律を何といいますか。
→答え問5 独占禁止法にもとづき企業を監視している、内閣府外局の機関を何といいますか。
→答え問6 利益のために価格や生産量、販路などについて、複数の企業が協定を結ぶことを何といいますか。
→答え問7 企業の合併吸収、買収で、1つの大きな企業になることを何といいますか。
→答え問8
次のア~ウで、独占禁止法で禁止されていないものを選びなさい。
ア カルテル
イ 過度のトラスト
ウ コンツェルン
→答え問9 国や地方公共団体によって決められる価格何といいますか。
→答え問10 次のア~エの中から公共料金であるものを選びなさい。
ア NHK
イ 水道代
ウ 携帯電話代
エ 新聞代
→答え問11 次のア~エの中で、地方公共団体が認可する公共料金はどれですか。
ア 電気代
イ 水道代
ウ 都市ガス代
エ 介護報酬
→答えまとめ
・独占、寡占 → 独占価格(消費者に不利益)
・公正取引委員会が独占禁止法にもとづき企業を監視
・カルテル、過度のトラストは禁止
・公共料金 … 電気、水道、ガス、鉄道やバス代、郵便料金など