中学公民 地方公共団体の財政まとめと問題

中学公民 地方公共団体の財政まとめと問題

今回は地方公共団体の財政(地方財政)のまとめと問題です。

地方公共団体の歳入と歳出、地方税の種類や地方交付税交付金と国庫支出金のちがい、地方債について、さらに地方公共団体の財政改善への取り組みと、市町村合併、地方自治体財政改善法、ふるさと納税について学習します。

地方公共団体の歳入

地方公共団体の歳入(収入)は地方税、地方交付税交付金、国庫支出金、地方債などがあります。

・地方税 … 自主財源

・地方交付税交付金 … 国からの支給(経済格差を小さくするのが目的)

・国庫支出金 … 国からの支給(特定事業で使うのが目的)

・地方債 … 借金

地方税

地方税は地域住民から徴収する税(都道府県税、市町村税)で、住民税、固定資産税、事業税、地方消費税などがあります。地方公共団体の自主財源の一つであり、地方が自由に活動するための重要な財源です。

地方税が多い地方公共団体は財政が豊かになりますが、地方税だけではやっていけません。国からの支給、借金でやりくりしています。

地方交付税交付金

地方公共団体の財政格差を小さくするため、国から支給されるお金のことを地方交付税交付金といいます。お金の使いみちは決まってなく、地方に任されています。

地方交付税交付金を受け取っていない地方公共団体もあります。

国庫支出金

義務教育、公共事業など、特定事業のために国から支給されるお金のことを国庫支出金といいます。

地方交付税交付金と国庫支出金のちがい

いずれも国から地方へ支給されるお金ですが、地方交付税交付金は使いみちが決まっていなく、国庫支出金は使いみちが決まっているという違いがあります。

地方債

歳入(税収)不足を補うために、地方公共団体がする借金のことを地方債といいます。

地方公共団体が発行した債券は銀行や証券会社で購入することができます。購入した人は利払日に利息が支払われます。

地方公共団体の歳出

地方公共団体の歳出には、民生費、教育費、公債費、土木費などがあります。

・民生費(福祉関連の費用、児童福祉・高齢者福祉・生活保護・障害者福祉・母子福祉など)

・教育費

・公債費(借金の返済分)

・土木費

地方公共団体の財政改善のために

地方財政改善のためのさまざまな取り組みが行われています。

市町村合併(平成の大合併)

1999~2010年ごろにかけて、「平成の大合併」と呼ばれる市町村合併が全国でありました。

市町村合併をすることで地方議会の議員や職員などの人員を減らして人件費を削減、学校や病因、ごみ処理場などを統合して運営費を削減することができます。

市町村合併のメリット・デメリット

市町村合併により財政が安定すること以外にも、人員や施設が少なくなることで仕事の効率が良くなること、少子高齢化や環境問題に広い範囲で取り組めることなどが、市町村合併のメリットです。

デメリットは住民の生活が不便になること、従来の社会が変わること、市町村が合併したことにより少数の意見が届きにくくなることがあげられます。

地方自治体財政健全化法

地方公共団体の財政健全化を促進するために、2007年に地方自治体財政健全化法が制定されました。各自治体に経済状況を提出させ、さらに一定水準の指標になると改善のための計画を求めたり、国の管理下で財政再生が行われるというものです。

法律が制定した背景には、2006年に起きた北海道夕張市の財政破綻もありました。

ふるさと納税

生まれ故郷あるいは応援したい地方に住民税の一部を納付することができる制度をふるさと納税といいます。

多くの自治体で納税したお返しに「特産品」の特典を設けていますが、過剰な返礼品競争も問題になっています。

【問題編】地方公共団体の財政(地方財政)

問1 地方公共団体の歳入で、自主財源となるのは次のア~ウのどれですか。

ア 地方税 イ 地方交付税交付金 ウ 国庫支出金

→答え

問2 次のア~ウの中で地方税に当てはまるのはどれですか。

ア 所得税 イ 相続税 ウ 固定資産税

→答え

問3 地方公共団体の財政格差を小さくするため、国から支給されるお金のことを何といいますか。

→答え

問4 義務教育、公共事業など、特定事業のために国から支給されるお金のことを何といいますか。

→答え

問5 地方公共団体が歳入不足を補うための借入金は次のどれですか。

ア 国債 イ 地方債 ウ ふるさと納税

→答え

問6 地方公共団体の主な歳出の一つで、児童福祉、高齢者福祉、生活保護などの福祉関連にかかる費用を何といいますか。

→答え

問7  1999年以降、全国の市町村数が大幅に減少したのは何が行われたからですか。

→答え

問8 問7が行われたことでどのようなメリットがあると考えられるか、次の中からすべて選びなさい。

ア 人件費・運営費が削減できる

イ 交通の便が良くなる

ウ 仕事が効率良くできる

エ 住民の意見が届きやすくなる

→答え

問9 地方公共団体の財政健全化を促進するために、2007年に制定された法律を何といいますか。

→答え

地方自治体財政健全化法

問10 生まれ故郷あるいは応援したい地方に住民税の一部を納付することができる制度を何といいますか。

→答え

ふるさと納税

まとめ

・地方公共団体の歳入 … 地方税、地方交付税交付金、国庫支出金、地方債など

・地方交付税交付金と国庫支出金のちがい

地方交付税交付金 … 使いみちが決まっていない、財政格差解消目的

国庫支出金 … 使いみちが決まっている

・ 地方公共団体の歳出 … 民生費、教育費、公債費、土木費

・地方財政改善の取り組み … 市町村合併(平成の大合併)、地方自治体財政健全化法、ふるさと納税