中学公民 地方自治のしくみまとめと問題

中学公民 地方自治のしくみまとめと問題

地方自治のしくみについてのまとめと問題です。

地方自治、住民自治、地方公共団体、地方分権などの重要用語、地方公共団体の仕事、地方公共団体の首長と地方議会議員の選挙権と被選挙権、任期、直接請求権と署名の必要数、住民投票、オンブズパーソン制度などについて確認していきます。

地方自治

地域の運営がそこに住んでいる住民によって自主的にされることを住民自治といい、さらに住民自治実現のために国から自立した地方公共団体をつくり、地方を運営することを地方自治といいます。

都道府県や市区町村のことを地方公共団体(地方自治体)といいます。地方公共団体をつくることは、憲法で保障されています。

民主主義の学校

地方自治は民主主義の学校と呼ばれています。地方自治は住民が直接政治に関わること(直接民主制)が実現しやすく、民主主義を学べるという意味でそのように呼ばれています。

地方分権

政治の権力を中央(国)だけに集中させず、地方に分散させることを地方分権といいます。(地方分権に対するのが中央集権です。)

地方分権の推進を目的に、地方分権一括法が1999年に制定、2000年に施行されました。

地方公共団体の仕事

・ごみの収集・処理

・消防・水防

・道路・河川・公園の建設や管理

・バス事業

・上下水道の建設と管理

・学校・図書館・公民館の設置や運営

・保健所・福祉施設・介護保険

・産業振興

・条例の制定

さらに国から委託された仕事(法定受託事務)として、

・パスポートの公布

・国政選挙の事務

・戸籍・住民登録の事務

などもあります。

地方議会と条例

地方公共団体の執行機関の長を首長といい、都道府県の首長を知事といいます。

首長と地方議会の議員は住民の直接選挙で選ばれます。

選挙権・被選挙権と任期

地方公共団体の首長・議員の選挙権は国会議員同様、満18歳以上です。

地方公共団体の首長・議員の被選挙権は都道府県知事は満30歳以上、その他の首長(市区町村長)や地方議会議員は満25歳以上です。

首長・地方議会議員ともに、任期は4年です。

国会議員との比較

 

国会 地方公共団体
内閣総理大臣・首長 内閣総理大臣は国会が指名 首長は直接選挙
選挙権 満18歳以上 満18歳以上
被選挙権 衆議院議員:満25歳以上
参議院議員:満30歳以上
都道府県知事:満30歳以上
その他の首長と議員:満25歳以上
任期 衆議院議員:4年
参議院議員:6年
4年

地方自治法

地方自治は地方自治法(1947年施行)にもとづき行われます。

条例

地方公共団体がそれぞれの地域で決めたきまりのことを条例といいます。

歩きたばこの禁止や自転車の利用に関する条例、迷惑防止条例など、各地方公共団体でつくられています。罰則がない場合もあります。

朝ごはん条例(青森県鶴田町)、梅干しでおにぎり条例(和歌山県みなべ町)など、ユニークな条例もあります。

直接請求権

通常は地方政治も選挙で選ばれた代表者による間接民主制が行われていますが、住民の署名により条例の制定や改廃の請求、監査請求、議会の解散請求、首長や議員の解職請求が直接できる、直接民主制を取り入れた権利が認められています。これを直接請求権といいます。

必要な署名数 請求先
条例の制定・改廃の請求 有権者の50分の1以上 首長
監査請求 有権者の50分の1以上 監査委員
議会の解散請求 有権者の3分の1以上 選挙管理委員会
首長・議員の解職請求 有権者の3分の1以上 選挙管理委員会

議会の解散や首長・議員の解職請求は住民投票が行われます。

住民投票

住民投票は住民の意思を確認するための投票です。

住民投票が行われるのは …

・特別法を制定するとき

・住民の民意を問うとき

・議会の解散や首長・議員のリコールの是非を問うとき

などです。

特別法は特定の地方公共団体だけに適用される、国会で決められた法律のことです。特別法の制定で実施される住民投票は、憲法が規定しているものです。1952年以来実施されていません。

住民の意思を問う日本初の住民投票は、新潟県の旧巻町の原子力発電所建設是非を問う投票です(1996年)。2015年には大阪市で大阪都構想の是非を問う住民投票がありました。

直接請求権の中で、議会の解散、首長・議員のリコールは住民投票にかけられます。過半数の賛成で解散あるいは解職となります。

オンブズパーソン制度

地方公共団体から独立した組織が、住民の苦情を処理したり、地方行政が適切に行われているか調査したり、改善を求める制度をオンブズパーソン制度(オンブズマン制度)といいます。(苦情の処理・地方行政の調査・監査をする人とオンブズパーソンまたはオンブズマンといいます。)

オンブズパーソン制度は、日本では1990年に神奈川県川崎市に初めて導入されました。

【問題編】地方自治のしくみ

問1 住んでいる住民によって自主的に地域の運営をすることを何といいますか。

→答え

問2 国から独立した都道府県や市区町村などの団体の権限を認め、住民が参加して地方の政治が運営されることを何といいますか。

→答え

問3 都道府県や市区町村のことを、何といいますか。

→答え

問4 地方自治は何の学校と呼ばれていますか。

→答え

問5 政治の権力を中央(国)だけに集中させず、地方に分散させることを何といいますか。

→答え

問6 問5を進めるために、1999年に制定された法律は何といいますか。

→答え

問7 地方公共団体の仕事を下のア~エからすべて選びなさい。

ア ごみの収集・処理

イ 上下水道の整備

ウ 電気、ガスの供給

エ 国立大学の設置や運営

オ 郵便配達

→答え

問8 都道府県知事の被選挙権は満何歳以上ですか。

→答え

問9 市区町村長と地方議会議員の被選挙権は満何歳以上ですか。

→答え

問10 地方公共団体の首長、地方議会議員の任期は何年ですか。

→答え

問11 地方自治は何という法律にもとづいて行われていますか。

→答え

問12 地方公共団体がそれぞれの地域で決めたきまりのことを何といいますか。

→答え

問13 住民が条例の制定や改廃の請求、監査請求、議会の解散請求、首長や議員の解職請求が直接できる権利のことを何といいますか。

→答え

問14 問13に関して、地方の条例の制定・改廃や監査請求には、有権者の何分の1以上の署名が必要ですか。

→答え

問15 地方の政治で議会の解散請求、首長や議員の解職請求には、有権者の何分の1以上の署名が必要ですか。

→答え

問16 ①条例の制定・改廃の請求先と、②議会の解散と首長や議員の解職の請求先は、それぞれどこになりますか。

→答え

問17 地域の政策に関する重要な問題や、首長や議員の解職や議会の解散に対して民意を問うとき、特別法を制定するときに行われる投票を何といいますか。

→答え

問18 地方公共団体から独立した組織が、住民の苦情を処理したり、地方行政が適切に行われているか調査したり、改善を求める制度を何といいますか。

→答え

まとめ

【地方公共団体(地方自治体)】

・条例 … 地方公共団体が定めた、地方でのきまり

・仕事 … ごみの収集・処理、上下水道の整備、消防・水防、道路・河川・公園の建設や管理、学校の設置・運営など

・首長・地方議会の議員 … 直接選挙で選ばれる(知事の被選挙権は満30歳以上、その他は満25歳以上)

【直接請求権】

・条例の制定や改廃の請求、監査請求は有権者の50分の1以上の署名が必要

・議会の解散請求、首長や議員の解職請求は有権者の3分の1以上の署名が必要