今回は基本的人権に関するまとめと問題です。
基本的人権とは何か、自由権と精神の自由・身体の自由・経済活動の自由、平等権それにかかわる法律やバリアフリー、ユニバーサルデザインについて、生存権、教育を受ける権利、労働基本権などの社会権、参政権、請求権などの基本的人権を守るための権利について、確認していきます。
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基本的人権とは
基本的人権とは人が生まれながらに持っている、人間としての当然の権利のことです。基本的人権には自由権、平等権、社会権、基本的人権を守るための権利(参政権など)があります。
日本国憲法三大原則の一つに「基本的人権の尊重」があります。日本国憲法には、
・国民はすべて基本的人権の尊重を妨げられず、基本的人権は侵すことのできない永久の権利であること(憲法第11条)
・憲法が国民に保障する自由及び権利は国民の不断の努力によって保持しなければならないこと(憲法第12条)
・すべて国民は個人として尊重され、生命・自由・幸福追求に対する権利は公共の福祉に反しない限り立法、国政の上で最大に尊重されなければならないこと(憲法第13条)
などが書かれています。
公共の福祉とは、社会全体の利益または幸福のことを指します。
自由権
自由権は人間が自由に生きるための権利です。精神の自由・身体の自由・経済活動の自由などがあります。
精神の自由
信教の自由、学問の自由、思想・良心の自由、集会・結社・表現の自由などがあります。
侮辱・脅迫など法律に違反した内容でなければ、自由な表現ができます、また国が書籍・新聞・雑誌などを公開前に検査する検閲も憲法で禁止されています(検閲の禁止)。
身体の自由
奴隷的拘束からの自由、苦役からの自由、黙秘権などがあります。
逮捕されるときは裁判官からの捜査令状が必要であり、裁判を受ける権利があります。自白の強要、拷問は禁止されており、被告人は自分に不利なことは話さなくてもいいという黙秘権があります。
経済活動の自由
職業選択の自由、居住・移転の自由、財産権などがあります。
平等権
平等権はすべての人間は平等に扱われる権利のことです(憲法14条…国民は法の下に平等)。性別、身分、民族・人種による差別、部落、アイヌ、在日韓国・朝鮮人への差別をなくし、障がい者・高齢者の人が住みやすい社会が目指されています。
男女の平等
男女雇用機会均等法(1985年)… 雇用において女性への差別を禁止
男女共同参画社会基本法(1999年)… 男女対等にその個性と能力を発揮できる社会の実現を目指す
バリアフリー
障がい者、高齢者が安全で快適に社会で生活できるよう、障壁(バリア)を取り除こうとする考えをバリアフリーといいます。(例:階段にスロープや手すりをつける、ノンステップバスなど)
ユニバーサルデザイン
性別、年齢、文化、言葉、能力、障がいの有無にかかわらず、だれでも快適に利用できる建物・環境・製品を設計することをユニバーサルデザインといいます。(例:イラストつきの案内サイン、多目的トイレなど)
社会権
人間が社会の中で人間らしく生きる権利を社会権といいます。社会権には生存権、教育を受ける権利、労働基本権(勤労の権利と労働三権)があります。
生存権
健康で文化的な最低限度の生活を送る権利のことです。生存権を守るためにさまざまな社会保障政策が行われています。
【社会保障】
・生活保護法 … 病気や失業で働けない人に生活費を支給
・医療保険・介護保険・年金
教育を受ける権利
国民は能力に応じて等しく教育を受ける権利があります。義務教育(公立の小中学校)は無償と憲法で定められています。
労働基本権
労働基本権には勤労の権利と
・団結権(労働組合を結成する権利)
・団体交渉権(労働条件改善のための交渉をする権利)
・団体行動権(ストライキなどを起こす権利)
の3つの権利(労働三権)があります。
基本的人権を守るための権利
基本的人権を守るための権利として、参政権、請求権があります。
参政権
国民には選挙権、被選挙権、最高裁判所の国民審査や憲法改正の国民投票の権利、請願権(公務員の罷免、法律や条例の改正を要求する権利)などの政治に参加する権利(参政権)があります。
請求権
請求権には裁判を受ける権利、国家賠償請求権(公務員の行為による損害に対して賠償を請求する権利)、刑事補償請求権(裁判で無罪になったとき国家に賠償を請求する権利)があります。
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【問題編】基本的人権(自由権・平等権・社会権など)
次の問いに答えなさい。または( )内に入る語句を答えなさい。
問1 人が生まれながらに持っていて、憲法で侵すことのできない永久の権利と定義されている権利のことを何といいますか。
→答え
問2 すべて国民は( ① )として尊重され、生命・自由・幸福追求に対する権利は( ② )に反しない限り立法、国政の上で最大に尊重されなければならない。(憲法第13条)
→答え問3 すべての国民は( )に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分または門地により、政治的、経済的、または社会的関係において差別されない。(憲法第14条)
→答え問4 人間らしく生きる権利のことを何といいますか。
→答え問5 次の権利やことがらは自由権、平等権、社会権のどの権利と関わっていますか。
(1) 生存権
→答え(2) バリアフリー
→答え(3) 教育を受ける権利
→答え(4) 黙秘権
→答え(5)勤労の権利
→答え(6) 検閲の禁止
→答え問6 次の自由や権利は、精神の自由、身体の自由、経済活動の自由のどれにあたりますか。
(1) 居住・移転の自由
→答え(2) 学問の自由
→答え(3) 思想・良心の自由
→答え(4) 集会・結社・表現の自由
→答え(5) 財産権
→答え(6) 信教の自由
→答え(7) 奴隷的拘束からの自由
→答え(8) 苦役からの自由
→答え(9) 黙秘権
→答え(10) 職業選択の自由
→答え問7 1985年に制定された、雇用において女性への差別を禁止した法律を何といいますか。
→答え問8 1999年に制定された、男女対等にその個性と能力を発揮できる社会の実現を目指す法律を何といいますか。
→答え問9 障がい者、高齢者が安全で快適に社会で生活できるよう、障壁を取り除こうとする考えを何といいますか。
→答え問10 性別、年齢、文化、言葉、能力、障がいの有無にかかわらず、だれでも快適に利用できる建物・環境・製品の設計を何といいますか。
→答え問11 社会権の一つで、健康で文化的な最低限度の生活を送る権利のことを何といいますか。
→答え問12 国民は能力に応じて等しく教育を受ける権利があり、( )教育は無償となっています。
→答え問13 労働基本権には労働三権と何の権利がありますか。
→答え問14 労働組合を結成する権利を何といいますか。
→答え問15 労働条件改善のための交渉をする権利を何といいますか。
→答え問16 労働者が要求のためにストライキを起こす権利を何といいますか。
→答え問17 公務員の行為による損害に対して賠償を請求する権利のことを何といいますか。
→答え問18 裁判で無罪になったとき、国家に賠償を請求する権利のことを何といいますか。
→答えまとめ
・基本的人権 … 自由権、平等権、社会権、基本的人権を守るための権利
・自由権 … 信教の自由、学問の自由、思想・良心の自由、集会・結社・表現の自由
・平等権 … 法の下の平等、性別・民族・人種による差別、部落・在日韓国・朝鮮人への差別をなくす(男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法、バリアフリー、ユニバーサルデザイン)
・社会権 … 生存権、教育を受ける権利、労働基本権(勤労の権利と労働三権)
・基本的人権を守るための権利 … 参政権、請求権