家族の多様化、憲法と民法による家族の規定に関するまとめと問題です。
大家族から核家族、単独世帯の増加といった家族の多様化、日本国憲法における個人の尊厳と両性の本質的平等の規定、民法における親族と相続に関する規定について確認します。
家族の多様化
人が集まってつくられる集団のことを社会集団といいます。
人が生まれて初めて出会う身近な社会集団が家族です。家族は愛情と信頼で結ばれた、最も小さな社会集団です。家族は憩い・休息の場であり、安らぎを得て互いに支え合い、子育てや高齢者の介護をし、働き手の収入で消費し、生活習慣や社会の基本的ルールを身につけていく場所です。
社会集団には家族以外に学校、職場、地域社会などがあります。
家族には核家族、大家族(拡大家族)があり、一人で暮らす単独世帯(一人世帯)も多くあります。かつては大家族が多かったですが、今日では家族の多様化が進んでいます。
核家族と大家族
核家族は①夫婦、②夫婦と子ども、③父まはた母と子どものいずれかで構成される家族のことです。
大家族(拡大家族)は祖父母、両親、子どもなど3世代以上が同居する家族のことです。現在では大家族より核家族が多いです。
単独世帯
世帯とは同じ住所で家計を一緒にしている集団をいいます。世帯を代表する人を世帯主といいます。
家族がいても離れて一人で暮らしている場合は単独世帯(一人世帯)といいます。単独世帯は全体の3分の1程度で、増加傾向にあります。
憲法と法律による家族の規定
家族に関する規定が日本国憲法、民法で定められています。
憲法による規定
日本国憲法第24条では家族に関する基本的な原則として、婚姻は両性の合意に基づいて成立するとし、夫婦が同等の権利をもつこと、配偶者の選択や財産権、相続などについて、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めています。
民法による規定
民法では家族に関して、親族や相続について定められています。
親族
民法では親族の範囲を6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族と定めています。
自分から見て親と子は1親等(しんとう)、祖父母、兄弟姉妹、孫は2親等、おじとおば、曽祖父母、ひ孫は3親等、その子どもであるいとこは4親等になります。夫や妻(配偶者といいます)は親等数では表しません。
血族は血のつながりのある親戚(しんせき)で、祖父母・父母・子・孫のようなつながりを直系血族、兄弟姉妹・いとこ・おじ・おばのようなつながりを傍系(ぼうけい)血族といいます。
姻族は婚姻関係で成立した親戚、配偶者の血族や血族の配偶者のことを指します。
なお直系血族、または三親等内の傍系血族とは結婚することができません。(いとこは4親等なので可)
▼親等の数え方、親族の呼び方に関してくわしく知りたい方はコチラの記事を。
相続
遺産の相続は、遺言がない場合配偶者が遺産の2分の1、残りの遺産は子どもが均等に相続(均分相続)します。
例えば2千万円の夫の遺産を妻と子2人で相続する場合、妻は2分の1の1千万円、2人の子は残りの1千万円の半分である500万円をそれぞれ相続することになります。
【問題編】家族の多様化、憲法と民法
次の( )に適切な語句を入れましょう。または問いに答えましょう。(答えは▶をクリック)
問1 家族は最初に出会う、愛情と信頼で結ばれた最も小さな( )です。 ▶答え
問2 家族は安らぎを得て、社会の( )を身につけていく場所です。▶答え
問3 核家族は次のア~オのどれにあたりますか、すべて答えましょう。
ア 夫婦
イ 夫婦と子ども
ウ 夫婦と子どもと孫
エ 父と子ども
オ 母と子ども
▶答え問4 祖父母、両親、子どもなど3世代以上が同居する家族のことを何といいますか。▶答え
問5 一人で暮らしている世帯を何といいますか。▶答え
問6 日本国憲法で、婚姻は( )に基づいて成立すると規定されています。 ▶答え
問7 日本国憲法において配偶者の選択や財産権、相続などについて、個人の( ① )と両性の( ② )が定められています。▶答え
問8 民法では親族の範囲を( ① )親等内の血族、( ② )、( ③ )親等内の姻族と定めています。▶答え
問9 いとこは何親等ですか。▶答え
問10 父母と子2人(長男・長女・次男)の家族で父が死亡し、2400万円の遺産が残されました。遺言がない場合、次男はいくら相続することになりますか。▶答え
まとめ
・家族 … 愛情と信頼で結ばれた、最も身近で小さな社会集団
・家族の多様化 … 大家族 ⇒ 核家族、単独世帯の増加
・憲法24条で婚姻は「両性の合意」に基づいて成立、家族の基本原則は「個人の尊厳と両性の本質的平等」
・民法で親族は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族
・相続は遺書がない場合配偶者が半分、残り半分を子どもが均分相続