今回は企業と資本主義経済、企業の種類に関するまとめと問題です。
個人企業、法人企業といった私企業、地方公営企業、特殊法人、行政法人などの公企業、第3セクター、さらに大企業・中小企業・零細企業の分類めやす、ベンチャー企業についても見ていきます。
スポンサーリンク
企業と資本主義経済
日本を含め多くの国で資本主義経済という体制がとられています。資本主義経済は企業が大きく関わっています。
企業と企業の社会的責任
資本と労働を用いて利潤を得ることを目的に市場にモノ(財)やサービスを提供するのが企業です。利潤を得ることが直接の目的ではない企業もあります。
資本とは経営に必要な元手(お金)のことです。
企業は利潤の追求でだけでなく雇用を確保し、人々のくらしを向上させる社会的責任を負うことも求められています。これを企業の社会的責任(CSR, Corporate Social Responsibilityの略)といいます。
メセナ
企業による文化や芸術の支援をメセナといいます。
フィランソロピー
企業による公益活動や非営利活動などの社会貢献活動をフィランソロピーといいます。
資本主義経済
個人や企業が元手・資本を用い、利潤を目的に財やサービスをつくる経済の仕組みを資本主義経済といいます。資本主義経済では土地、設備、労働力などの生産の要素のうち、土地、設備などの生産手段を私有財産として私有でき、労働者は資本家から賃金をもらいます。
資本主義経済では貧富の差の拡大、失業などの問題があります。この問題を解決する経済の仕組みとして、社会主義経済が提唱されました。
資本主義経済・社会主義経済が生まれた歴史的背景はコチラを参考に
スポンサーリンク
企業の種類
企業は利潤を得ることを目的にした私企業(しきぎょう)と、利潤を目的としていない公企業(こうきぎょう)に分けられます。
私企業
利潤を目的とした私企業には、個人企業と法人企業があります。
個人企業
個人企業とは農家や個人商店など、個人経営の企業を指します。
法人企業
法人企業とはいわゆる会社のことで、法人として登記されている企業です。法人企業には株式会社、合資会社、合名会社、合同会社があります。
公企業
利潤を目的としない公企業には、国営企業、地方公営企業、特殊法人、独立行政法人などがあります。国営企業はかつてはありましたが、民営化が進められて現在の日本にはありません。
地方公営企業
地方公営企業は地方公共団体が経営する企業で、水道事業、工業用水道事業、下水道事業、交通事業(バス、鉄道)、病院事業、ガス事業、電気授業などがあります。
特殊法人
特殊法人とは法律によって設立された企業で、日本放送協会(NHK)、日本年金機構、日本たばこ産業株式会社(JT)などがあります。
独立行政法人
独立行政法人は医療や教育、研究などの政府の事業から独立した企業で、造幣局(財務省所管)、国民生活センター(消費者庁所管)、国際協力機構(JICAジャイカ、外務省所管)、国立がんセンター(厚生労働省所管)などがあります。
【参考】第3セクターとは
第3セクターとは地方公営企業(第1セクター)と民間の私企業(第2セクター)が、共同出資・経営している企業のことです。
第3セクターにはゆりかもめ、横浜シーサイドラインなどの鉄道会社や、海運会社、球場などがあり、地域開発や新しい都市開発に貢献しています。
その他の企業の種類
公企業と私企業以外にも、企業の規模から大企業・中小企業・零細企業という分類をすることがあります。またベンチャー企業と呼ばれる企業もあります。(中学生で習う範囲外のこともありますが、)
大企業・中小企業・零細企業
大企業は中小企業より資本金や従業員が多い、大規模な企業です。
中小企業は製造業・建設業・運輸業で資本金3億円以下または従業員300人以下、卸売業で資本金1億円以下または従業員100人以下、サービス業で資本金5000万円以下または従業員100人以下、小売業で資本金5000万円以下または50人以下とされています。
小規模企業(零細企業)は製造業・建設業・運輸業で20人以下、卸売業・サービス業・小売業で5人以下となります。(参考:中小企業庁サイト)
大企業と比較すると中小企業の事業所数は圧倒的に多いですが、出荷額は全体の比率を見ても大企業の方が多くなっています。1事業所あたりの従業員数も大企業の方が多いです。
ベンチャー企業と社内ベンチャー
革新的な技術・アイディアで、新しいサービスや事業を展開する企業のことをベンチャー企業といいます。ベンチャー(venture)とは「冒険的な」という意味で、大企業では手を出しにくい新しい分野にチャレンジする、新規の中小企業のことに対して使われる名称です。
社内ベンチャーというときは、企業内でベンチャー企業のように、新規事業を行う部門を指します。社内ベンチャー制度を導入している企業もあります。
多国籍企業
国境を越えて事業を行っている企業を多国籍企業といいます。日本の多国籍企業にはトヨタ自動車、スズキ、任天堂、富士フィルムなどがあります。
複合企業(コングロマリット)
直接関係していない多種類の事業を行っている企業(グループ)のことを複合企業(コングロマリット)と呼びます。楽天グループなどがその例です。
【問題編】企業の種類
次の問いに答えなさい。または( )に適切な語句を入れなさい。
問1 企業は資本と労働を用いて( )を得ることを目的に、市場に財やサービスを提供します。
→答え問2 企業が問1を得ることを目的に、最初に準備する資金のことを何といいますか。
→答え問3 利潤を求めることを目的とした、民間の企業を何といいますか。
→答え問4 利潤を求めることを目的としていない、国や地方公共団体などの企業を何といいますか。
→答え問5 農家や個人商店など、個人経営の私企業を何といいますか。
→答え問6 株式会社、合資会社などの私企業を何といいますか。
→答え問7 水道事業、交通事業など、地方公共団体が経営する公企業を何といいますか。
→答え問8 NHK、日本年金機構、JTなどの公企業を何といいますか。
→答え問9 外務省所管のJICA、厚生労働省所管の国民生活センターなどの、公企業を何といいますか。
→答え問10 地方公営企業と民間の私企業が共同出資・経営している企業のことを、( )セクターといいます。
→答え問11 革新的な技術・アイディアで、大企業が開拓しにくい新しいサービスや事業を展開する中小企業を( )企業といいます。
→答え問12 国内だけでなく、世界で活動している企業を何といいますか。
→答え問12 企業は利潤の追求でだけでなく雇用を確保し、人々のくらしを向上させる社会的責任を負うことも求められています。これを何といいますか。
→答えまとめ
・資本主義経済 … 企業が利潤を目的に財やサービスをつくる経済の仕組み
・利潤追求か、民間か公かによる分類 … 私企業・公企業
私企業 … 個人企業(農家、個人商店など)・法人企業(株式会社、合資会社など)
公企業 … 国営企業・地方公営企業・特殊法人(NHK、JTなど)・独立行政法人(JICAなど)
・地方公営企業+私企業 → 第3セクター
・企業の規模による分類 … 大企業・中小企業・零細企業
・革新的な技術・アイディアで、新しいサービスや事業を展開する企業 → ベンチャー企業
・世界で活躍する企業 → 多国籍企業