今回は消費者の権利と保護に関するまとめと問題です。
消費者にはどのような権利や義務があるのか、架空請求やキャッチセールスなどの悪質商法、消費者問題対策としてつくられた、クーリング・オフや消費者基本法など、消費者の権利を守るための法律について確認していきます。
消費者の権利と義務
消費者主権、J.F.ケネディが提唱した消費者の4つの権利について学習します。
消費者主権
消費者が自分の意志で商品を選択し、購入する権利のことを消費者主権といいます。
情報化社会が進んだことで、消費者主権が揺らいでいると言われています。
テレビで何度も流されるCM、インターネットで頻繁に出る関心のある分野の広告に影響されて、商品を購入してしまう人も多いです。
消費者の権利(4つの権利)
1962年にアメリカのJ.F.ケネディが消費者の権利4つを提唱しました。
・安全を求める権利
・知らされる権利
・選択する権利
・意見を反映させる権利
※ 後にフォード大統領が上の4つの権利に「消費者教育を受ける権利」を追加しました。
消費者の義務
消費者が商品を購入するとき、商品の販売者側と消費者側で価格についての合意があった(契約が成立した)とされ、消費者の勝手な都合で商品を返品したり返金を求めることは基本的に認められないと考えられています。
ただしやむを得ない事情、販売側の問題があるときは契約を解除し、返品・返金が可能だったり、損害を被った場合は損害賠償を請求することも法律で認められています。(次章にて解説します。)
消費者問題と法律
販売方法が多様化し、商品を購入しやすくなった一方、さまざまな消費者問題も生じています。
消費者問題
消費者が購入した商品によって、または商品を購入した際に発生する問題を消費者問題といいます。医薬品、食品を購入して発生した健康被害、誇大広告による詐欺、架空請求などがあります。
悪質商法
・架空請求 … 実際には利用していない有料サイトの登録料を請求される
・送りつけ商法 … 実際には購入していない商品が送りつけられ、代金を請求される
・キャッチセールス … 路上でアンケートや絵画の展示などを口実に声をかけ、高額な商品を売りつける
・無料商法 …「無料」体験をさせて、高額な商品やコースの契約を結ばせる
・マルチ商法 … 「会員を増やして商品を売るとお金が入る」と言われ、入会金や商品代を支払う
消費者を守る法律
消費者問題対策として、消費者を守るための制度や法律がつくられています。
・クーリング・オフ制度
・製造物責任法(PL法)
・消費者契約法
・消費者基本法
2009年には消費者庁が新設されました。各省庁にまたがっていた消費者に関する問題の処理を、一元化するのが目的です。
クーリング・オフ制度
訪問販売や電話勧誘で商品を購入した場合、8日以内に契約の解除ができる制度のことをクーリング・オフ制度といいます。(お店や通販での商品購入には適用されません。)
製造物責任法(PL法)
1995年に製造物責任法(PL法)が施行され、消費者が製品の欠陥によって損害をこうむったとき、企業側に過失がなくても企業側に損害賠償の責任を負わせることができるようになりました。
消費者契約法
2001年に消費者契約法が施行、事業者が消費者に事実と異なる説明をして消費者が商品を購入した場合、契約をキャンセルできます。
消費者基本法
消費者保護基本法が2004年消費者基本法に改正され、消費者の権利を明確にし、企業や行政が責任を負うことを定められました。
【問題編】中学公民 消費者の権利と保護
次の問いに答えなさい。または( )に適切な語句を入れなさい。
問1 消費者には自分の意志で商品を選択し、購入する権利があることを何といいますか。
→答え問2 アメリカのJ.F.ケネディが提唱した消費者の権利は、( ① )を求める権利、知らされる権利、( ② )する権利、意見を反映させる権利の4つです。
→答え問3 消費者が商品を購入するとき、商品の販売者側と消費者側で価格についての合意があったと考えられ、このような合意を( )といいます。
→答え問4 医薬品、食品を購入して発生した健康被害、誇大広告による詐欺など、消費者が商品を購入した際に起きるさまざまな問題を何といいますか。
→答え問5 路上でアンケートや絵画の展示などを口実に声をかけ、高額な商品を売りつけることを何といいますか。
→答え問6 実際には利用していない有料サイトの登録料を請求されることを、( )請求といいます。
→答え問7 訪問販売や電話勧誘で商品を購入した場合、8日以内に契約の解除ができる制度を何といいますか。
→答え問8 消費者が製品の欠陥によって損害をこうむったとき、企業側に過失がなくても企業側に損害賠償の責任を負わせることができることを定めた、1995年に施行された法律を何といいますか。
→答え問9 2004年に改正された、消費者の権利を守る法律を何といいますか。
→答え問10 消費者に関する問題の処理を一元化するのを目的に、2009年に新設された省庁の名称を何といいますか。
→答えまとめ
・商品を購入することは契約
・消費者の4つの権利 … 安を求める権利・知らされる権利・選択する権利・意見を反映させる権利
・消費者問題 … 悪質商法(架空請求、キャッチセールス、マルチ商法、無料商法など)
・消費者問題対策 → クーリング・オフ制度・製造物責任法(PL法)・消費者契約法・消費者基本法