中学公民 景気変動とインフレ・デフレまとめと問題

中学公民 景気変動とインフレ・デフレまとめと問題

今回は景気変動とインフレーション・デフレーション、政府や中央銀行の経済政策に関するまとめと問題です。

景気変動とは何か、好景気と不景気での労働者の賃金、失業者数の関係、インフレーションとデフレーションと物価・通貨の価値の関係、ハイパーインフレとスタグフレーション、好景気と不景気での政府の財政政策、中央銀行の金融政策(公開市場操作、買いオペ・売りオペ)を確認します。

景気変動とは

景気とは経済活動の状況を指します。景気が良いときを好景気(好況)、悪いときを不景気(不況)といいます。景気変動(景気循環)とは、好景気と不景気(好況と不況)が交互にくり返されることです。

好景気ではどうなる?

好景気では商品がよく売れて(需要量>供給量)、労働者の賃金が増えて消費が拡大します。企業はさらに生産を増加、設備投資を行い経済が活性化、労働者の手がますます必要になり、失業者が減少します。

しかし企業の生産量に消費者の需要が追いつかなくなる(需要量<供給量)と、商品が余って企業の経営状況が悪くなり、景気が悪くなっていきます。

不景気ではどうなる?

不景気で商品が売れなくなる(需要量<供給量)と企業は生産量を減少し、経費を抑えるために設備投資にお金を使わなくなったり、労働者を解雇して失業者が増加、賃金が上がらなかったり減ったりします。消費者も賃金が減ってお金をあまり使わなくなります。

企業の生産量が減少する(需要量>供給量)と、企業が生産を増やして消費量が増えてきて、景気が回復していきます。

インフレとデフレの違いと覚え方

需要量と供給量の関係により、物価が上昇したり下落する現象が起こります。上昇するときはインフレ、下落しているときはデフレと呼ばれます。

インフレーション

景気が良いときは需要量が供給量を上回り、物価が上昇し通貨の価値が低くなります。このことをインフレーション(インフレ)といいます。インフレのときはお金の価値が下がるので、貯金していると損をすることになります。

インフレは需要量が供給量を上回る以外にも、商品のコスト(賃金、円安など)が上がって価格を上げざるを得ないときも起きます。

物価が激しく上昇することをハイパーインフレーション(ハイパーインフレ)といいます。2018年ベネズエラでは、100万%のハイパーインフレが起きているとも伝えられています。

スタグフレーション

景気が後退しているときに起きるインフレをスタグフレーションといいます。1970年代のオイルショックで、日本も含む先進国においてスタグフレーションが起こりました。

デフレーション

不景気のときは供給量が需要量を上回り、物価が下がって通貨の価値が上がります。このような状態をデフレーション(デフレ)といいます。お金の価値が上がるので、貯金をしておくと得することになります。

デフレスパイラル

デフレで物価が下がり企業の収益が悪化、労働者が解雇されたり賃金が減らされ、消費者はますます商品を購入しなくなり、さらにデフレが進むという悪循環のことをデフレスパイラルといいます。

【参考】インフレとデフレ 覚え方

インフレとデフレのもともとの意味を覚えておくと、より覚えやすくなります(中学生だと少し難しいかもしれませんが)。

インフレ(インフレーション inflation)とは膨張、デフレ(デフレーション deflation)とは収縮のことを表します。それぞれ「通貨量」が膨張すること、縮小することを表します。

通貨量が多ければお金の価値が下がり、少なければ価値が上がりますよね。

インフレ → 通貨量の膨張(お金の価値が下がり物価が上がる、好景気)

デフレ → 通貨量の収縮(お金の価値が上がり物価が下がる、不景気)

高校生以上なら、同じ接頭語の英単語からもイメージしやすくなるでしょう。イン(in)のつく英語には increase(増加する)、infinity(無限大)、デ(de)のつく英語には decrease(減少する)、depression(不況)などがあります。

財政政策と金融政策

政府が行う経済政策が財政政策であり、中央銀行(日本銀行)が行う経済政策は金融政策といいます。中央銀行が公開の市場で国債などを売買して、市場の通貨量を調整することを公開市場操作といいます。

財政政策で税金や公共事業の増減、金融政策(公開市場操作)で売りオペ・買いオペが行われます。

好景気での経済政策

・財政政策 … 増税公共事業を減らす

・金融政策(公開市場操作)… 国債を売却売りオペ

好景気も行き過ぎるとインフレの恐れがあります。政府や日本銀行が景気の過熱を抑えるための対策を行います。

政府は税金を上げて企業や個人のお金を減らします。また公共事業を減らして企業の収益が増えすぎないようにします。

日本銀行は国債を売却(売りオペレーション、売りオペ)して一般の銀行からお金を集め、銀行が企業へお金を貸し出ししにくいようにします。

不景気での経済政策

・財政政策 … 減税公共事業を増やす

・金融政策(公開市場操作)… 国債を購入買いオペ

不景気のとき政府は減税を実施し、国民の消費を促すようにします。また公共事業への支出を増やすことで、雇用の創出を図り、国民にお金が回るようにします。

日本銀行は一般の銀行から国債を購入します(買いオペレーション、買いオペ)。銀行は手元に資金ができるので企業への貸し出しが増え、企業の活動と経済全般を活性化します。

▼ 日本銀行の金融政策についてはコチラの記事を

参考:中学公民 日本銀行の役割と金融政策まとめと問題

【問題編】景気変動とインフレ・デフレ

次の問いに答えなさい。または(      )に適切な語句を入れなさい。(答えは▶をクリック)

問1 好景気と不景気が交互にくり返されることを何といいますか。

▶答え

問2 好景気では商品がよく売れて(  ①  )量が(  ②  )量より多くなって、労働者の賃金が(  ③  )がり消費が拡大します。また失業者は(  ④  )します。

▶答え

問3 不景気では商品が売れなくなり、(  ①  )量が(  ②  )量より多くなって、労働者の賃金が(  ③  )がり消費が拡大します。また失業者は(  ④  )します。

▶答え

問4 好景気で商品がよく売れると、企業は設備投資をして生産を増やそうとします。しかし企業の(  ①  )量が消費者の(  ②  )量を上回ると、景気が悪くなっていきます。

▶答え

問5 物価が上昇して通貨の価値が低くなることを何といいますか。

▶答え

問6 物価が激しく上昇し、通貨の価値が極端に下がることを何といいますか。

▶答え

問7 景気が後退しているときに起きるインフレのことを何といいますか。

▶答え

問8 不景気のとき供給量が需要量を上回り、物価が下がって通貨の価値が上がることを、何といいますか。

▶答え

問9 インフレとデフレでは銀行に貯金しておくと損になるのはどちらですか。

▶答え

問10 下の図のような悪循環のことを何といいますか。

▶答え

問11 不景気では政府は税金を増やしますか、減らしますか。

▶答え

問12 不景気では政府は公共事業の支出を増やしますか、減らしますか。

▶答え

問13 中央銀行が国債を売買して市場の通貨量を調整することを何といいますか。

▶答え

問14 日本銀行は不景気のとき、国債を購入しますか、売却しますか。

▶答え

まとめ

・景気循環 … 好景気と不景気(好況と不況)交互にくり返されること

・好景気 … 需要量>供給量、賃金増加、失業者減少

→ 増税、公共事業増、金融政策は売りオペ

・不景気 … 供給量>需要量、賃金減少、失業者増加

→ 減税、公共事業増、金融政策は買いオペ

・インフレは物価上昇、通貨の価値が下がる

・デフレは物価下落、通貨の価値が上がる