今回の理科は生物の進化と相同器官についてまとめました。
進化とは何か、始祖鳥やシーラカンスの特徴について、進化の痕跡としての相同器官、痕跡器官、また相似器官についても確認します。確認問題もあります。
生物の進化
進化とは生物が世代を経ていくうちに、違うなかまに分かれること(変化していくこと)を指します。
進化と変態・発生との違い
進化は何世代にわたって変化すること、変態は幼生から成体になる間(1世代の間)で姿を変えることを指します。次第に
・首の短いキリン → 現在の首の長いキリン(進化)
・幼虫 → さなぎ → チョウ(変態)
生物が受精卵や芽や胞子などから、成体になるまでの過程を発生といいます。発生も1世代での過程です。
始祖鳥
中生代の化石より、鳥類とハチュウ類の両方の特徴を持っている始祖鳥(シソチョウ)が発見されています。
鳥類の特徴 | 羽毛でおおわれている つばさがある |
ハチュウ類の特徴 | 歯がある 翼に指とつめがある |
現在の鳥類はふつうは歯や翼のつめがありませんが、始祖鳥はそのどちらも持っています。なお始祖鳥は鳥の祖先というわけではありません。
シーラカンス
シーラカンスは中生代に栄えた海水魚で、現在も生きていることから生きた化石とも呼ばれています。シーラカンスは背骨が発達してなく、卵胎生です。セキツイ動物の前足のような骨格があり、魚類と両生類の特徴を持っています。
その他にも古生代に生息していたエウステノプテロン、イクチオスデガも魚類と両生類の特徴を持つ生物の例としてあげられます。エウステノプテロンはヒレに7本の指があった魚類、イクチオスデガは陸上で生息していた原始的な四足動物です。
進化の痕跡~相同器官・相似器官・痕跡器官
セキツイ動物は魚類 → 両生類 → ハチュウ類、ハチュウ類の祖先からホニュウ類、鳥類と進化してきたことがわかっています。セキツイ動物の中では違うなかまでも元は同じだったと考えられる器官や、似たような器官が残っていることがあります。
相同器官と例
共通の祖先で起源が同じでも進化の過程で形やはたらきが変わっていくことがあります。下の例のような、同じ起源のものと考えられる器官を相同器官といいます。
(例)魚類の胸びれ、トカゲの前あし、カモメのつばさ、コウモリのつばさ、イヌの前足、ヒトの手
痕跡器官と例
相同器官の中でも、そのはたらきが進化の過程で失われ、痕跡だけ残ったものを痕跡器官といいます。
(例)・ヘビやクジラの後ろあし ・ヒトの盲腸や尾てい骨・イカの甲(貝殻)
ヘビには手足がありませんが、ニシキヘビの皮膚からは小さな爪が生えており、後ろあしの痕跡器官とされています。
イカは軟体動物なので骨がありませんが、イカの甲や烏賊骨(うぞっこつ)と呼ばれる骨のようなものがありますが、貝殻の名残です。タコにも貝殻をもっているものがあります。(軟体動物は基本的に貝です。)
相似器官と例
似ているけれどもともとは異なる器官のことを相似器官といいます。
(例)昆虫類のはねと鳥類のつばさ、魚類の背びれとイルカの背びれ、ジャガイモとサツマイモ
昆虫類のはねは皮膚が変化したもので、鳥類のつばさは前あしが進化したものです。イルカの祖先は四足でしたが、水中で生活するようになり進化の過程で背びれがつくられました。ジャガイモのいもは地下茎、サツマイモのいもは根です。
【問題編】生物の進化と相同器官
問1 何世代にわたって生物が変化していくことを何といいますか。
→答え問2 さなぎから蝶になるように、幼生から成体になる間で姿を変えることを何といいますか。
→答え問3 生物が受精卵から成体になるまでの過程を何といいますか。
→答え問4 次のア~エの始祖鳥の特徴は、何のなかま(何類)の特徴と考えられるか、それぞれ答えなさい。
ア 翼がある
イ 翼につめがある
ウ 歯がある
エ 羽毛でおおわれている
→答え問5 シーラカンスは魚類と何類の特徴を持っていますか。
→答え問6 共通の祖先の同じ部分が、進化の過程で環境にあわせて形やはたらきが変化していくことがあります。このように現在は形やはたらきが異なっていても、もとは同じものと考えられる器官を何といいますか。
→答え問7 問6の中でもヒトの尾てい骨のように、はたらきが進化の過程で失われ、痕跡だけ残ったものを何といいますか。
→答え問8 魚類の背びれとイルカの背びれのように、似ているけれどもともとは異なる器官のことを何といいますか。
→答え問9 次のア~ウの中から、相同器官をすべて選びなさい。
ア ヒトの手とクジラの胸びれ
イ ワシのつばさとトンボの羽
ウ カモメのつばさとコウモリのつばさ
→答えまとめ
生物の進化や進化の痕跡である相同器官、痕跡器官などについて確認してきました。進化と変態・発生の違いに注意してください。始祖鳥の鳥類としての特徴とハチュウ類としての特徴もよく出題されています。
・進化は生物が世代を経て長い年月をかけ、違うなかまに分かれること(変化していくこと)
始祖鳥 …羽毛・つばさ → 鳥類、つばさのつめ、歯 → ハチュウ類
シーラカンス … 魚類、両生類
・相同器官 形やはたらきが異なっても起源は同じと考えらえれる器官(トカゲの前あし・カモメのつばさ・ヒトの手など)
→ 進化の過程で失われたものは痕跡器官
・相似器官 … 似ているけれど起源が異なる器官(昆虫類の羽と鳥類のつばさなど)