中学受験の過去問はいつから始めるのが良い?早すぎはNG?過去問の解き方と注意点も!

中学受験の過去問はいつから始めるのが良い?早すぎはNG?過去問の解き方と注意点も!

中学受験の過去問はいつから取り組んだら良いか迷いどころ。お子さんの学習状況や受験校の数によっても最適な時期はさまざまかと思います。

元塾講師である筆者が中学受験の過去問はいつから始めるべきか、自身の経験もふまえつつ、一般的な中学受験生を想定して考察してみました。

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中学受験の過去問はいつから始めるのが良い?

中学受験の過去問は塾や先生によって意見が分かれるところです。個人的な意見として塾に通っているお子さんなら遅くとも9月から過去問を進めるのがおすすめです。お子さんの勉強の「仕上がり」が良ければ夏からでももっと早くても良いと思います。筆者の場合個別指導塾ということもあり、6年の夏休み(夏期講習)から解くケースが多いです。国語が得意なお子さんなら国語だけでも早めに取り組んでみて良いでしょう。

カリキュラム完成+復習を終えた9月はいいタイミング

中学受験のカリキュラムでは公民を除きほとんど5年生で完成、春~夏にかけて復習、総合問題を塾でも進めるのが一般的な進め方です。ここまできたら(苦手分野は残しているとは思いますが)志望校の過去問を解く準備ができたといって良いでしょう。志望校過去問の傾向も早めにつかみ、今後志望校合格に向けて何が必要で何が必要でないか、見極めることもできます。

志望校の過去問を解くのには時間がかかる!

志望校が仮に3校(複数回受験する学校も含む)あり、

  • 第1志望校(本命またはチャレンジ、複数受ける)10年分
  • 第2志望校(合格可能性60%以上)5年分
  • 第3志望校(合格可能性80%以上、余裕で受かりそうな学校)3年分

の過去問を進めるとします。1月のお試し校は1、2年分で十分と思うので、ここでは数に入れていません。

第1志望は2周、できたら3周したいと考えると、冬休み前までには全部終わらせてしまいたいです。

合計18年分です。4教科ならかなりハードです。

  • 1週間で1年ペース→18週(約4.5か月)・・・9月からでも1月までかかってしまいます。×
  • 1週間で2年ペース→9週間(約2か月と少し)・・・10月からでも間に合いますが、塾の宿題も別に出されるならややハード?

1週間で2年ペースでも見直し、2周はしたいことも考えればやはり9月からスタートすると余裕があり、忙しい週は1年分にしてもいいでしょう。

複数校受験するお子さんで、塾の方針で11月から過去問を解いていたお子さんが筆者の在籍する個別塾に来ていました。毎週解いた過去問を提出するのですが、量が多くてかなり大変そうに見えました。問題を解く→提出するだけのサイクルになっていたようにも見えました。(もちろん11月スタートでうまくいくお子さんもたくさんいらっしゃるのですが・・・)

秋以降、受験生としての意識が高まる

特に進学塾に通っていないお子さんだと、秋になってもいまいち緊張感がないことがあります。小学生なら仕方ないことなのかもしれません。夏休み明け、ハードな夏期講習が終わって少し気がゆるんでしまいがちな9月は危険。

あくまでも筆者の経験上ですが、授業中いまいち集中力がなかったお子さんも過去問に取り組んでから「入試でいい点とりたい、合格したい」という意識が高まり、勉強への意欲が高まったことが多いです。

ただしあまり早くから解かせるとわからない問題ばかりで、お子さんが自信喪失したり受験が嫌になってしまう可能性もあります。

総復習を終えた9月ぐらいから始めれば、仮に合格ラインは超えてなくても解ける問題が増えてきているでしょう。そうなればお子さんの自信とやる気もアップにもつながります。

早すぎはNG?早めに過去問には目を通してほしい

基礎固めができていない状態で春から過去問を解くのはデメリットがあると上でもお伝えしましたが、過去問に目を通すのは早めが良いでしょう

特に新6年に上がる前、もしくは志望校がある程度決まった段階で、保護者の方には早めに過去問に目を通してほしいと思います。もちろんお子さんと一緒でも。

過去問に早く目を通すことで、今後こういう問題を解けるように勉強を進めたらいいんだなと大まかでもイメージしやすくなります。

中堅校、スポーツ・芸術系の学校の場合、入試問題が個性的な出題形式だったり、中学受験の知識がそれほどなくても解ける問題のこともあります。また難関中でも意外に基本的な問題を多く出題している学校もあります。

首都圏で例をあげると、最近人気がますます高まっている女子美術大付属中の国語はほとんどが記述問題です(解答欄もたくさん書いてと言わんばかりに大きいです)。仮に模試では余裕の成績がとれていても、記述が苦手なお子さんは手も足も出ないでしょう。

進学塾のカリキュラムは長年の実績があるものですが、受験校の問題によっては異なった角度からの対策も必要になります。受験校の過去問を見て進学塾にこのまま通っても志望校対策にならないと判断し、個別指導塾に転塾されるケースもあります。

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過去問の解き方と注意点について

特に塾や先生から指示がない場合、次のようなことに注意して過去問を進めておくと良いでしょう。

古い年度から進める

特に第1志望校、第2志望校では古い年度から問題を進めるのがおすすめです。

10年前から出題形式は変わっていないけど、最近は図形の複雑な問題も出るようになった、漢字の問題が減って知識問題が増えたなど、最近の傾向を把握しやすくなります。

また最近は思考力を問うような問題が出されるように、以前より試験の内容が難しくなってきていることもあります。

第1志望校は10年分解く

第1志望校なら10年分かできるだけ多く解くことをおすすめします。第2、第3志望校なら5年分かそれ以上、合格可能性がかなり高い第3以下の志望校なら3年分、1月のお試し受験(東京・神奈川の受験生向け)なら1年分だけでも良いでしょう。

入試問題の傾向が変わっている場合も

古い年度から、特に第1志望校なら10年分解いておきたいですが、10年も経つと以前と入試問題の傾向やレベルが変わってしまっている(難化している)学校も中にはあります。

出題形式が少し変わったぐらいなら気にせず解いていいと思いますが、あまりに入試問題のレベルが違いすぎる場合は最近の傾向や受験校のレベルに近い学校の過去問も解くことで良い対策になります

問題を解くときは時間を計って

問題を解くときはタイマーを使って本番と同じ時間内で解くようにしましょう。初めは時間内に解くのに慣れないかもしれません。

もし時間内に終わらなかったら時間内に解けた問題と解けなかった問題がわかるように印をつけて、すべて解き終わるまで完成させます。

苦手なタイプの問題は後回しにするなど、問題を解く順番も検討しておくと良いでしょう。

解答用紙は実際の入試と同じサイズで

冊子で売られている過去問はかなり縮小がかかっています。同じサイズだと解答欄が小さいので、あまり文字数がなくてもいっぱいに。

記述問題の解答欄の大きさは答えてほしい文字数に合わせていることが多いので、実際の入試と同じサイズに拡大して解くのがおすすめです。

合格最低点+αを目標

合格最低点や合格者平均点が本や学校の資料・公式サイトなどで掲載されています。合格最低点ギリギリだと心配なので、それより少し上を。平均点がわかれば少なくともそれぐらいの点を目指したいところです。

過去問の解き直しこそ大事

もちろん問題を解いてマルつけするだけで満足してはいけません。問題の解き直しこそ大事です。解説を参考に解き方を確認しておきましょう。

またどこで間違えてしまったのか、今後どんな勉強の必要があるのかも計画を立てることができます。ご家庭だけで大変であれば家庭教師などプロにお任せするのもおすすめ。

なお合格ラインや合格者平均点を見れば、多くの学校ですべての問題を解ける必要がないことがあります。合格目標点がクリアできる前提で、確実に今から頑張っても解けないレベルの問題、捨て問と思える問題は、あまり深く取り組まなくても良いでしょう。

入試問題説明会、体験会も参加

志望校の入試問題説明会や体験会を行っていればぜひ参加しておきましょう。入試説明会では過去問本では知ることができなかった情報も得られることがあります。

また体験会は模擬試験とは違う実際の入試での雰囲気を味わうことができます(最近はオンラインでの実施も多いようですが)。体験会参加前には一度過去問を解いておくことをおすすめします。

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まとめ

中学受験では過去問をいつから解くべきか、解き方や注意点についても確認してきました。必ずしもすべてのお子さんのケースに当てはまるわけではありませんが、9月あたりからコツコツ進めていくのが自身の指導経験からも良いと感じています。

複数校受験する一般的な中学受験生を想定してお伝えしてきましたが、受験校やお子さんの性格や学習状況、塾や先生のフォロー体制によってはもっと早くあるいはもう少し遅いスタートの方が良い場合もあります。特に難関校や最難関校限定のクラスで、類題や予想問題に取り組めているなら適切なスタート時期が変わってくるでしょう。

今回の記事がお子さんの中学受験対策に、お役に立てたら幸いです。