中1理科 凸レンズと光の作図

  • 2018.08.04
  • 理科
中1理科 凸レンズと光の作図

凸レンズの作図問題が苦手という人も少なくないのではないでしょうか。凸レンズによる像の作図について解説します。物体の位置によって像はどんな風に見えるのか?できるのは実像なのか虚像なのか?作図の基本をマスター、すらすら答えられるようにしましょう!

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【基本】凸レンズを通る光の作図

実像の作図

下の図のFは焦点(光の集まるところ)を表しています。レンズの中心からFまでの距離は焦点距離といいます。(F’は焦点距離の2倍の位置を示しています。)レンズの中心を通る横線は軸といいます。

図の位置に置かれた物体はどのような像を作るのでしょうか?作図のしかたを確認していきます。

まずは物体の先端から軸と平行な線を伸ばし、レンズまで伸ばしたら焦点Fを通るように直線を引きます。

次に物体の先端から、レンズの中心を通る直線を一気に引きます。

2つの直線の交点に像ができます。矢印が下向きになっているので、上下左右が逆(倒立)の実像ができます。今回の場合、実像の矢印が物体より大きくなっています。つまり物体より大きい実像ができています。

このように2本線を引くだけで、像を簡単に作図することができます。

虚像の作図

 

凸レンズの作図は意外に簡単…ですが、物体が次の図のように焦点の内側に置かれている場合はどうなるのでしょう?

実像を作るときと同様に線を引くと、交点ができないようです。

このようなときは2本の線を延長して、交点を物体側に作ります。軸から交点に向けて矢印を書き入れると…

上の図のようになります。

もとの物体よりも大きな虚像ができます。虚像は物体と同じ向き(正立)の像です。

ルーペ(虫眼鏡)で拡大して見えている像は虚像です。

>>光の反射と屈折についてはコチラで解説!

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物体の位置と像の関係

物体がどの位置にあると実像ができて虚像ができるのか、さらに像の大きさは元の物体と比較してどうなっているか?像ができない位置についても作図で確認できるようにしておきましょう。

物体が焦点距離の2倍より遠い位置

物体が焦点距離の2倍の位置より遠いところにある場合で作図すると、次のようになります。

倒立の実像が焦点距離の2倍の位置よりも内側にできています。実像の大きさは元の物体より小さくなっています。

物体が焦点距離の2倍の位置

物体が焦点距離の2倍の位置にある場合で作図すると、次のようになります。

倒立の実像が焦点距離の2倍の位置にできています。実像の大きさは元の物体と同じ大きさになっています。

スクリーンに映る実像が実際の物体と同じ大きさになっている場合、物体が焦点距離の2倍の位置にあることがわかります。さらにこのとき凸レンズから物体(スクリーン)までの半分の距離焦点距離になります

物体が焦点距離の2倍より内側(焦点の外側)の位置

物体が焦点距離の2倍より内側かつ焦点の外側にあるとき、つまり上の図でF’とFの間の位置にあるときは、下の図のように作図できます。

焦点の2倍の位置より外側に、倒立の実像ができています。物体の大きさは元の物体の大きさより大きくなっています。

凸レンズに近づけば近づくほど実像が大きくなっていくと考えられますが、焦点まで近づけるとどうなっていくのでしょうか。

物体が焦点の位置

物体が焦点の位置にあるとき、下の図のように作図できます。

交点がないので像ができません

物体が焦点の内側の位置

物体が焦点の内側にあるときは、(すでに説明しましたが)下の図のように作図できます。

上の図でFからレンズまでの位置に置いたときは、元の物体よりも大きな正立の虚像ができます。

レンズから離れたところから物体をレンズに近づけていくほど、より大きな実像がレンズから離れた場所にできます。しかし焦点まで近づけると像ができず、さらに物体をレンズに近づけると(焦点より内側に置くと)虚像ができるということになります。

【問題編】凸レンズでできる像の作図

問1 下の図でできる像を作図しなさい。またこのときできる像は実像か虚像か、もとの物体と比べて大きさはどうなっているかも答えなさい。

 

答えを確認

問2 下の図でできる像を作図しなさい。またこのときできる像は実像か虚像か、もとの物体と比べて大きさはどうなっているかも答えなさい。

 

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まとめ

凸レンズによってできる像の基本の作図方法について確認してきましたが、いかがでしたか。焦点を通る直線とレンズの中心を通る直線の交点が像のできるところになります。

さらに物体の位置によってできる像の特徴が異なってきます。

物体の位置 像の大きさ 像の大きさ 像の位置
焦点距離の2倍より外側 実像 物体より小さい レンズに近い
焦点距離の2倍 実像 物体と同じ 焦点距離の2倍
焦点距離の2倍~焦点の間 実像 物体より大きい レンズから遠い
焦点 像ができない
焦点の内側 虚像 物体より大きい 物体側

作図の基本がわかっていれば、上の表を丸暗記しなくても答えられます!